序論



 本研究では、日本にて高松塚古墳やキトラ古墳などで発見された星座と現代の星座との対応比較を容易に行えるアプリケーションの開発を行った。高松塚古墳とキトラ古墳には同じ形の星座が多いため、比較のために古代中国の星座も表示できる機能も備えている。古代中国の星座はアスターナ古墳群の墳墓の一つから発掘された星座を参考にしている。
 アプリケーション開発時に、日本で最も代表的な高松塚古墳とキトラ古墳の星宿図を参考にした。それぞれについて概要を以下に説明する。
 高松塚古墳は、奈良県明日香村(国営飛鳥歴史公園内)に存在し、694〜710年にかけて築造された古墳で、直径23m(下段)及び18m(上段)、高さ5mの二段式の円墳である。
 キトラ古墳は、奈良県高市郡明日香村にある円墳で、704年〜8世紀初めに建造された。上段が直径9.4m、高さ2.4m、テラス状の下段が直径13.8m、高さ90cmの二段築成作りの円墳である。墳丘は小高い阿部山の南斜面に位置している。 円墳という古墳の形体や四方に四神が描かれた壁画が残されているという類似点から、高松塚古墳とは兄弟と呼称されることもある。
 古代中国の星座を参考に使った古墳は、トルファンのアスターナ古墳群の中の一つである三八号墓の壁画である。アスターナ古墳群は高昌故城に住んでいた麹氏高昌・唐代(618〜907年)の貴族の墓地である。高昌故城の北方約1km、火焔山の南麓にあり、500基近くの墳墓が並んでいる。


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