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大阪工業大学 情報科学部 宇宙物理研究室 2009年度 卒業研究

「宇宙膨張と宇宙論パラメータ」

学籍番号A05-053 情報科学科 氏名 黒田 雅敏 

2009/3/2 作成

概要 / 目次 / 卒業論文/

概要

 1998年の超新星の統計データ観測以来、宇宙は加速膨張しているとされているが、膨張の違いを数値だけでは比較しにくい。そこで、宇宙膨張がどのように異なるかを視覚化するアプリケーションを開発して、標準ビッグバンモデルにおける膨張の違いを比較できるようにした。
 標準ビッグバンモデルとは、一般相対性理論において、宇宙を一様で等方な時空であると仮定し、物質が摩擦のない完全流体として記述できるとするモデルである。このモデルを支持している理由は以下の3つの観測的証拠があるからである。
 1.ハッブルの法則に従う膨張
 2.宇宙マイクロ波背景放射
 3.軽元素の存在比

 宇宙の相対的な大きさは、 という式で表される。Rはスケール因子、Gは重力定数、ρは平均密度、Λは宇宙項である。宇宙項とは、斥力を持った仮想のエネルギーである。膨張が確認されるまで、宇宙の中の物質が、膨張を止める引力になると考えられていたため、宇宙は減速膨張していると考えられていた。ところが遠方の超新星を用いた観測によって宇宙膨張は加速していることが示されたため、宇宙項が必要になる。

図1:宇宙項の無いモデル
図2:観測値を用いたモデル
 2つのフリーパラメータによるスケール因子を変化させるアプリケーションをJava言語を用いて作成した。  2つのパラメータは密度パラメータと減速パラメータである。  作成したアプリケーションはこちらで公開しています。

目次

  1. 序論
    1.1 背景
    1.2 本研究の目的

  2. 標準ビッグバン宇宙論を支える観測的証拠
    2.1 ハッブルの法則
    2.2 宇宙マイクロ波背景放射
     2.3 軽元素の存在比

  3. 宇宙膨張を導く方程式
    3.1 アインシュタイン方程式
    3.2 フリードマン方程式

  4. 宇宙論パラメータ
    4.1 ハッブル定数
    4.2 密度パラメータ
    4.3 減速パラメータ
    4.4 宇宙項
    4.5 曲率
    4.6 臨界密度
      

  5. アプリケーションの仕様
    5.1 概要
    5.2 プログラム
    5.3 計算手法
    5.4 使用方法

  6. 結果
    6.1 宇宙項0の宇宙モデル
    6.2 密度0の宇宙モデル
    6.3 その他の宇宙モデル
    6.4 観測から得られる宇宙モデル

  7. まとめ

  8. プログラム


卒業論文

  • 卒業論文 [pdf]
  • 作成したアプリケーション[html]

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