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大阪工業大学 情報科学部 宇宙物理・数理科学研究室 2013年度 卒業研究

漫画キャラクターの顔データによる作者の判別の可能性

情報メディア学科 高原夏海

2014/3/4 作成

概要 / 目次 / 卒業論文 /

概要

 漫画を読むとき、私たちはその絵を見るだけで作者を判別することができる。私たちは何をもって、作者を判別しているのか、それを明確に言える人は少ないと思われる。ほとんどの人が「なんとなく」「絵が違うから」という曖昧な回答をする人が多いだろう。そんな中、よく聞くのが“絵柄”という言葉である。この絵柄を数値として表すことができれば、作者のそれぞれの特徴などを明確に知る事ができるのではないかと考えた。

 本研究では、まず顔画像から指定した箇所(図1)の距離を測定し、集計するツールを作成した。データの一例を図2に示す。分布図上で、点が密集していれば類似しているということになる。逆に言えば、どの点からも離れているものは、その作者特有のものということになる。

 分布図からデータの類似性を示すために、クラスター分析という分類方法を用いた。本研究では、ウォード法というクラスター分析では一般的に使われる方法を用いた。これは、分布図から二点間の距離の最小値を探し、平均値を求めながらグループ化を繰り返すという方法である。類似性の順序を示すプログラムを作成し、その結果からデンドログラムと呼ばれる樹形図(図3)を作成した。これにより視覚的に比較しやすくすることができる。

 作者が判別できるかどうかは、これらの結果を見ることで知ることができる。図3は、絵柄に特徴を持つグループ化を示す。図中の丸で囲ったデータは図2の分布図で近い位置に分布している。他の箇所を測定したときも、この作者の描くキャラクターは、目や鼻など部分が同じように近い位置に分布していることが分かったこのように、作者の描くキャラクターの比によって、作者を判別することができる場合もあることが分かった。また図2で挙げた箇所以外の測定結果を分布図にしたとき、少年漫画誌と少女漫画誌に分類して比較すると、少年漫画誌の方が結果にばらつきがあった。つまり少年漫画誌には、特徴的な顔の比をもった作者が多いということになる。逆に言えば、少女漫画誌に分類されるキャラクターは、比較的近くに分布し、似通った結果が出た。

 この点から、少年漫画誌であるか、少女漫画誌であるかの判別もおおまかには可能であるということが分かった。ここに例として挙げた結果以外の箇所の分析や詳細ついては本文の方で述べることとする。


目次

1 序論
  1.1 背景
  1.2 研究の目的
2 顔の測定方法
  2.1 方法論
  2.2 測定に使用する
  2.3 測定する箇所
3 顔画像の測定結果
  3.1 目の縦横比の比較
  3.2 目頭と目尻の比較
  3.3 鼻の長さの比較
  3.4 顎の角度の比較
4 数値データの分析
  4.1 使用する分析
  4.2 ウォード法
  4.3 デンドログラム
5 分析結果・考察
  5.1 目の縦横比の比較
  5.2 目頭と目尻の比較
  5.3 鼻の長さの比較
  5.4 顎の角度の比較
6 まとめ

卒業論文[pdf]