“ゆるぎない土台”をかため、いきる工学をきわめる「教育推進」

不断の点検と改善で教育の“土台”を強化する

大学教育の基盤は「教育課程」、つまり「授業科目の内容と、その体系的な組み立て」です。
時代や社会の要請に対応し、かつ未来を見すえた課程を編成するには、多大な議論が必要です。したがって多くの大学にとって、全面的な教育課程の刷新は数十年に一度の大事業です。
OIT工学部は2014年度から、国際的視野で活躍できる人間性と工学的知識および実践力を持つエンジニア育成を念頭に、新たな教育課程を導入しました。20年ぶりの大改革です。
さまざまな検討を重ねて構築された新課程ですが、それが“最終形”ではありません。社会は刻々と変化し、教育環境も複雑化します。そうした現代の多様な要請に的確に応えられるよう、いわゆる「PDCAサイクル」を着実に進める必要があります。
すなわち、計画(Plan)・実行(Do)した後に点検(Check)・改善作業(Action)を重ね、“ゆるぎない土台”をさらに強化する。それが、OIT工学部の教育推進です。

多角的な点検、組織的な改善

この教育推進を中心的に担うのは、教育推進委員会(2015年4月より教育課程検討委員会から改組)です。新課程導入にむけて筋道を整える役割を担ったこの委員会は、2014年度からは主な活動を点検と改善にシフトし、OIT工学部としての組織的な取り組みの原動力となっています。
その検討項目の例は、下記のとおり多岐にわたります。学部内の自己評価委員会や教務委員会、あるいは大学の教務部やIRセンターなどとも連携しながら、より教育効果の高い体制構築に向けて多角的に活動しています。
●「学生による授業アンケート」と「学修成績」の相関による授業改善方法
●数学・物理系科目の学力定着状況と、専門科目理解への効果
●社会人としてのキャリア形成に資する教育システム構築
●その他、個別の科目から教育システム全般の点検・改善方法

アンケート分析に基づく授業の工夫

授業内容・手法などを改善するための教員による組織的な取り組みを、FD(Faculty Development)と呼びます。OIT工学部でも教務部との協働で、学生による授業アンケート、教員相互の授業公開を実施し、さまざまな教員向け研修会に参加しています。同時に、教育推進委員会で本学独自のFD活動を工夫し、学生に対してより良い授業の提供をめざしています。
たとえば、多くの大学が取り入れている授業アンケートでは、受講学生の回答に対して担当教員からのフィードバックが行われ、学生・教員間のコミュニケーションが図られます。OIT工学部ではその仕組みを一歩進め、授業満足度と成績をもとに受講学生を分類し、「成績は優秀だが満足度は平均レベルの学生が多数の授業」や「満足度は高いが成績の芳しくない学生が多い授業」など、それぞれの授業の傾向を可視化します。その情報を教員間で共有し、より効果的な授業ノウハウについての議論をさらに促進する活動に取り組んでいます。

基礎と専門が密接する“いきる工学”へ

新教育課程の編成方針の一つに、初年次基礎教育と専門教育の効果的な接合があります。とくに、あらゆる工学分野の基礎となる数学と物理については、OIT工学部のそれぞれの学科専門科目に有機的に発展する授業内容を整えました。同時に、徹底指導が信条の教育センターとも協働し、正課授業以外での学習活動も含めてきめ細かく連帯した体制を整備しています。
教育推進委員会では2014年度から、こうした教育システムの実効性検証に着手しています。たとえば、物理の基礎的テーマの学修が専門科目で対応する実践的テーマの理解度にどのように反映するのかについて詳細に分析し、それを踏まえて授業シラバスや授業方法を検証する作業につなげます。
学生が未来に“いきる工学”を身につけるため、基礎から専門まで最も有効な教育システムを追求する。OIT工学部は、そうした地道な営みを精力的に継続します。