OIT OB・OG VOICE

大石 亜希さん
OB・OG VOICE
07
大石 亜希さん
2010年 工学部 環境工学科 卒業

大阪府庁 泉州農と緑の総合事務所 環境指導課

環境をよくするには
どうすればいいのか
持続可能な
社会へ向けた
取り組みを続けたい

基礎から学べるカリキュラムで環境工学に必要な知識を修得

高校時代、大学で生物を学びたいと思っていましたが、どのようにキャリアを積み、どんな仕事へ進むべきか迷っていました。そんな時、大阪工業大学に環境工学科が増設されると知りました。生態系から環境まで幅広く学べるカリキュラムは、今後社会で重要な役割を担う環境ビジネスに生かせると考え、進学を決めました。
環境工学科は、物理、化学、生物の知識と技術を使って、環境問題を解決していく分野。1年次は、これら三つの分野全般を学び、環境工学に必要な基礎知識を培いました。私は高校時代に物理を選択していなかったのですが、大学で物理を基礎から学ぶことができるカリキュラムになっており、環境工学を学ぶ上で役立ちました。
印象に残っている授業は、『環境工学実験』です。そのフィールドの一つが、大宮キャンパスのそばを流れる淀川の城北ワンド群(川の本流とつながっているが、河川構造物に囲まれた池のようになっている地形)でした。このエリアは、環境省レッドリストで絶滅危惧種に指定されているイタセンパラが生息する貴重な場所。そこから採った水を用いて、さまざまな実験を行いました。座学での学びをフィールドワークで確認する実戦的な授業は楽しく、理解も深まりました。また、授業の一環として工場や廃棄物焼却炉の見学に行ったことも思い出に残っています。
環境工学科には、下水処理など水質や水環境を専門に研究する先生による授業も多く、水に関して学びを深めることができ、自然と水に興味が湧きました。4年次からは「都市環境工学研究室」に所属。池や湖などの閉鎖性水域で見られる「アオコ」と呼ばれる微細藻類の発生を予測する研究に取り組みました。
4年間を通して、環境に関する知識を幅広く身に付けることができました。それは、どんな質問にも熱心に答えてくださる先生方のおかげです。勉強や研究に、楽しく取り組むことができたことに感謝しています。学位記授与式で謝辞を読ませていただいたことは、大学時代の良い思い出となりました。また、大阪工業大学では特待生や奨学金の制度が充実しており、私自身も4年間授業料全額免除の特待生として有意義な学生生活を過ごすことができました。

営利目的ではなく未来のために環境を考える

就職は、環境問題に非営利で取り組める仕事がしたいと思い、公務員をめざしました。環境という分野は水、大気、廃棄物、エネルギーというように多岐にわたりますが、そのような幅広い分野に対して一つの組織からアプローチしていけることが行政に携わることの最大の魅力だと感じています。また、行政は民間企業・団体とは違って、利益を求めないため、行政でしか実現できない大切な役割があると感じています。市役所、都道府県庁、省庁の中で私が選んだのは、地域住民との距離が近い一方で、国に報告や施策を提案できる大阪府庁です。現在は、大阪府泉州農と緑の総合事務所環境指導課で、泉州地域の環境に関するさまざまな業務に携わっています。届出・申請の審査や窓口応対など事務所内で行う仕事のほか、工場や事業場を訪ね、指導する機会もあります。府民の方々との交流は、楽しみな仕事の一つです。
入庁してすぐに配属されたのは、循環型社会推進室産業廃棄物指導課で、建築廃材を出す建設業者の指導を行っていました。3年目からは環境指導課(現所属)に異動し、工場排水の規制・指導を担当することに。大学時代は、アオコが発生する原因の一つである閉鎖性水域の富栄養化について研究していましたが、今はその栄養源となる排水を出す事業者を指導しています。業務を通して、大学で得た知識を生かし、理解を深めていける行政の仕事にやりがいを感じています。

さまざまな部署異動は知識と経験を積むチャンス

役所の異動サイクルは2~3年と短いため、部署が変われば、その部署が所管する法律を勉強する必要があります。私が今の部署に異動した前年度には、地下水汚染の未然防止に関する法改正があったので、事業者への周知などの対応に追われました。しかし、新たな知識を得るチャンスと思い、自分で調べるだけでなく、先輩に納得いくまで聞いて理解するよう努めました。
今めざしていることは、環境をよくするために、持続可能な社会へ向けた取り組みを続け、幅広い視野で物事を見られる人になること。限られた専門分野だけではなく、多くの部署で仕事をしていくことで、さまざまな経験を積んでいきたいと思っています。

  • 工場などで排水を採水し、その結果に応じて指導を行う。外出時は作業服で。羽織った瞬間「ぴりっと引きしまる」そう。
    工場などで排水を採水し、その結果に応じて指導を行う。外出時は作業服で。羽織った瞬間「ぴりっと引きしまる」そう。
  • 学生時代参加した見学会。企業の水処理エンジニアリング、環境技術を学んだ。
    学生時代参加した見学会。企業の水処理エンジニアリング、環境技術を学んだ。
  • 大学時代に行ったアオコの発生予測に関する研究は、今の仕事にきちんとつながっている。
    大学時代に行ったアオコの発生予測に関する研究は、今の仕事にきちんとつながっている。
  • 学位記授与式で謝辞を読んだ大石さん。謝辞は首席で卒業した証し。
    学位記授与式で謝辞を読んだ大石さん。謝辞は首席で卒業した証し。
  • 大阪府庁/泉州農と緑の総合事務所  環境指導課
    ■大阪府庁/泉州農と緑の総合事務所 環境指導課は、大阪府庁の中で、特に泉州地域の農業、林業、自然保護、環境指導などを行う部署。大気汚染や水質汚濁などの環境保全、アスベスト対策はじめ、産業廃棄物の不適正処理などに関わる事業者の規制・指導し、環境問題の防止と改善に努めている

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