OIT OB・OG VOICE

井原 駿也さん
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井原 駿也さん
2017年 知的財産学部 知的財産学科 卒業
2019年 知的財産研究科 知的財産専攻 専門職学位課程 修了

コベルコ建機株式会社 技術開発本部 知的財産部 知的財産グループ

知的財産・特許について
法律と実務の両面から学んだ6年間
即戦力として入社し
自社の知財部門を支える

社会を人知れず支える「知的財産」に惹かれて進学

知的財産に興味を持ったのは、高校時代の恩師の勧めがきっかけです。知的財産とは、人間の知的活動によって生み出されたアイデアや創作物などに生じる、財産的な価値のこと。特許や商標、著作権など、身近でイメージしやすい学問であるうえ、企業、特にメーカーにおいては非常に重要な役割を果たします。社会を陰ながら支える点に面白みを感じ、日本唯一の知的財産学部である本学部に進学しました。本学部の特徴は、法律と実務・活用の両面から知的財産を学ぶことができるカリキュラム。特に印象に残っているのは、企業の知的財産部門の方による講義です。講義の中には、各会社における知的財産の活用事例などを聞くことができるものがあり、実践的に学びを深めることができました。当時いただいた講義資料は、現在もたまに見返し、業務に活かしています。

特許事務所でのアルバイトを通して将来像を見据えながら実践的な学びを深めた

大学院への進学を決めたのは、知的財産・特許分野での就職を見据えてさらに学びを深めたいと感じたためです。大学院では、企業における知的財産の活用方法など、実践的なスキルを身につけるための授業内容が中心。当時は漫画の無断転載が特に問題視されていたため、「コンテンツビジネスにおける海賊版対策」を研究テーマに選び、コンテンツの無断転載や転売を防ぐための方策を検討しました。研究において特に大変だったのは最新情報の収集。手作業ですべてを集めるのでなく様々なソフトウェアを活用して情報更新時に通知が届くようにするなど、効率化を図っていました。
また、知的財産に関わる就職先は、特許事務所や企業の知的財産部門、特許庁、コンサルティングなど様々。大学の紹介で、長期間にわたり特許事務所でのアルバイトができたため、実業務を通して知的財産の学びを深められたことも将来の進路を考える上で役立ちました。

客観的な視点と綿密な情報収集で自社の知財を支える

現在は建設機械メーカーに入社し、技術開発本部知的財産部に所属しています。小さな部品やシステムから機械全体に至るまで、自社の権利を保護し、開発結果として活用するために特許や意匠として保護することが必要。自社にとって最も有益になるよう設計・開発者と連携しながら、請求項や実施形態等を整え、新規性や進歩性を見出し、特許事務所とも連携して特許や意匠として権利化を目指すことが主な業務です。知的財産学部・大学院出身ということもあってか、即戦力として迎えられ、配属後すぐに、特許調査や権利化業務に携わらせていただきました。
仕事に取り組む際に大切にしているのは、客観的な視点と徹底的な調査。設計者が技術的にアピールしたい部分と知財部門が考える特許的に取得したい部分が異なる場合もあるため、相手の意向を汲みながら、特許出願に向けて都度すり合わせを行うことが大事です。さらに、他社の動向を確認することも不可欠。学生時代、様々な角度から情報収集した経験が活きていると感じます。

特許に+αの価値を生み出せる人材へ

今後の目標は、設計者の依頼に沿って業務を進めるだけでなく、「この部分も権利を取得できるのでは」と追加提案を行える存在になること。自社を特許分野から発展させていけるよう、知的財産活動を通して会社全体を盛り上げたいです。
知的財産学は、法律など文系的な要素と技術などの理系的要素が織り交ざった特殊な分野。開発されたものの本質を見極め、特許として練り上げていく作業は、大変ですが非常に面白いです。興味がある方はぜひ知的財産学部へ飛び込んでみてください。

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