天の光はすべてゴミ天の光はすべてゴミ

初の人工衛星スプートニク1号が打ち上げられてから60年。
人類は宇宙にフロンティアを求め、いまもその挑戦は続いています。
しかし、これまで打ち上げられたロケットの部品や破片、役目を終えた人工衛星などが
スペースデブリ…つまり「宇宙ゴミ」として地球の衛星軌道上を高速で周回しており、
その数は17,000個以上。その数は年々増加しており、このままいくと地球はスペースデブリに囲まれ、宇宙から隔絶。
まさに、地球から見えるものはすべてゴミということになるかもしれません。
大阪工業大学はこの課題に取り組むべく、
新たにゴミを生み出すことなく、今あるゴミを除去する新型人工衛星の開発に取り組んでいます。

わたしたちの挑戦と意思が、夢を目標に、空想を現実に変えていきます。
今、現実が、少しSFに近づいている。

研究室TOPICS [宇宙推進工学研究室]自在に高度を変更でき、宇宙ゴミ問題を解決に導く人工衛星を開発。目指すは「宇宙のドローン」。研究室TOPICS [宇宙推進工学研究室]自在に高度を変更でき、宇宙ゴミ問題を解決に導く人工衛星を開発。目指すは「宇宙のドローン」。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、宇宙航行用新型ロケットエンジンの研究を行っている宇宙推進工学研究室(田原弘一教授)。現在開発している超小型人工衛星「PROITERES(プロイテレス)衛星2号機」が、JAXAにより2018年7月に打ち上げ予定のH-ⅡAロケットに搭載されることが決まりました。
「宇宙ゴミ問題を解決できるかもしれない」。そんな壮大な研究に取り組む田原先生に、現在抱える問題や今後について語ってもらいました。

まず「宇宙ゴミ」とは何でしょうか。

これまでの宇宙開発に伴う中で発生し、現在は不要になった物のことで、「スペースデブリ=宇宙ゴミ」と呼ばれます。ロケットを飛ばす際に発生した部品や、その役割を終えた衛星たちが現在無数に地球軌道上を周回しています。

「宇宙ゴミ」があると、どのような問題があるのでしょうか。

現在運用している衛星などが宇宙ゴミに衝突しないように管理していかなければなりませんし、今以上に宇宙ゴミが増えると地球の周りがゴミだらけになり新しいロケットも飛ばしにくくなってくるなどの問題があります。また、現役の人工衛星と宇宙ゴミや、宇宙ゴミ同士が衝突し新たな宇宙ゴミを連鎖的に生み出す「ケスラーシンドローム」という現象も問題視されています。
宇宙ゴミの除去は費用や手間はかかりますが、新たな利益を生むわけではないため、これまで軽視されてきました。しかし、現在は「これから打ち出す衛星は25年以内に大気圏内に自ら突入し、新たな宇宙ゴミを発生させない」などの国際的なルールもできつつあり、これからは宇宙ゴミとどう付き合っていくかが、宇宙開発には欠かせない視点となっています。

デブリ散布状態の模式図

「宇宙ゴミ」問題解決のための取り組みはどのようなものがあるのでしょうか。

まず「宇宙ゴミ」に関する対策として大きく分けて、今ある宇宙ゴミの数や位置・これからの軌道を把握するための『調査把握』、新たなゴミ(デブリ)を生み出さない『非デブリ化』、そして今ある宇宙ゴミを減らす『デブリの除去』という3種類があります。現在、私たちの研究室では『非デブリ化』というテーマを取り扱っており、将来的には『デブリの除去』も目指しています。

具体的には。

電気により発生させたガスを電気の原理で高速噴出し、宇宙空間で衛星の高度を自在に変えることのできる「電気推進ロケットエンジン」を開発しています。その自由に動ける姿から、宇宙の「ドローン」と呼んでいて、2018年7月打ち上げのPROITERES(プロイテレス)衛星2号機に搭載されます。自ら高度を下げて大気圏に突入することができるため、エンジン自体が新たな宇宙ゴミにならないほか、小型の人工衛星が宇宙空間で素早く自在に動くことができるようになれば、宇宙開発に新たな可能性が開けます。

目指すは
「宇宙のドローン」
開発中の電気推進ロケットエンジン

『デブリの除去』まで視野に?

「PROITERES(プロイテレス)衛星4号機」まで計画があり、衛星4号機は宇宙ゴミの除去を目的としています。
宇宙ゴミは重力と遠心力のつり合いによって地球軌道上を周回しているのですが、衛星4号機では、衛星2号機で自身の移動に使用したガスを今度は宇宙ゴミに向けて噴射します。遠心力を弱めてつり合いを崩し、重力にひかれるように大気圏内に宇宙ゴミを落として焼却させるのです。
この計画では、宇宙ゴミと同速度で航行するなど、さらに精緻な自己制御が必要になるほか、対象物の軌道を変更するためのガス噴出量の算出など、複雑な計算が必要になってきます。

ガスの噴射により、
宇宙ゴミを大気圏内に落とし除去する

『デブリの除去』について、現状はどうなっているのでしょうか。

ロボットアームなどで宇宙ゴミをつかまえ、宇宙ゴミの軌道を変える方法など、複数の案が研究されていますが、どの方法もまだ実用化には至っていません。私たちの取り組みは宇宙ゴミと直接触れることなく宇宙ゴミを除去できるという点で、他の取り組みとは解決のアプローチ方法が異なっています。

先生が宇宙開発に興味をもったきっかけを教えてください。

中学時代に観たSFアニメの影響で宇宙に興味を持ち、それから宇宙開発を目指し続けています。化学燃料を燃焼させて機体を動かす、という取り組みが私の学生時代からつい最近まで主流でした。ロケットや人工衛星の開発、そしてその運用には多額の資金が必要なため、既に確立されている化学燃料推進という手法に固執しやすく、新しいことには挑戦しづらい文化があったのです。しかし、化学燃料に比べ電気を使用したエンジンは燃費が良く、将来的にはこちらのエンジンも必ず必要になるという確信があり、長年研究を続けてきました。
転機になったのは小惑星イトカワの物質を持ち帰った小惑星探査機「はやぶさ」です。電気推進エンジンの一種であるイオンエンジンを搭載した「はやぶさ」の活躍やそのエンジンに注目が集まりました。現在は、その目的やミッションに合わせて複数のエンジンが使用されており、電気推進エンジンの宇宙開発における活躍はこれからますます期待されます。

これを読んでいる読者にメッセージをお願いします。

高校生や、研究室に配属になった学生に必ずかける言葉があります。
「宇宙は夢ではない。努力すれば誰でも手が届く。」
月面基地や有人火星探査などは既に計画されていますし、太陽系全体が人類の生活圏になる日もそう遠くないかもしれません。昔は夢だったものが、今は目の前にあります。みなさんも一緒に宇宙への扉を開いてみませんか。

プロジェクトメンバーと。知的財産学部のメンバーも参加し、機密情報の取り扱いや特許分野を担当。

工学部 機械工学科
宇宙推進工学研究室

田原 弘一 教授

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ」は、宇宙航行用イオンロケットエンジンを使い、小惑星「イトカワ」の物資を地球に持ち帰りました。後継機「はやぶさ2」は順調に飛行中であり、宇宙大航海時代が到来しようとしています。本研究室では、JAXAと共同で、宇宙航行用新型ロケットエンジンの研究、それらを搭載した自律航行小型人工衛星「プロイテレス2号機」や月探査機「プロイテレス3号機」の開発を行っています。

[ 主な研究テーマ ]

  • 宇宙航行用電気推進ロケットの開発研究
  • 有人火星探査用ホール型イオンロケットエンジンの開発
  • 月基地建造物資輸送用大型プラズマロケットエンジンの開発
  • 電気ロケットエンジン搭載小型人工衛星の設計開発・打ち上げ運用
  • 小型衛星、国際宇宙ステーションを用いた宇宙実験

宇宙推進工学研究室

知的財産学部 知的財産学科
知的財産の創造と活用に関する
法律問題の研究

高田 恭子 准教授

本研究室では、知的財産を活用するための実践力を、本学工学部の宇宙推進工学研究室との共同プロジェクトにより養っています。共同プロジェクトでは、産業化がいよいよ図られてきた宇宙をターゲットに研究プロジェクト・マネジメントを行っており、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などが参加する学会で発表した実績もあります。実際の研究現場に足を運んで、宇宙という夢に向かって研究する人たちを知的財産の側面から支援しています。

[ 主な研究テーマ ]

  • 知的財産の創出と活用に関する法律問題の研究
  • 知的財産と事業マネジメント

知的財産学科 高田研究室

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