人工知能よりアイをこめて人工知能よりアイをこめて

20XX年1月25日。私たちの生活の中にロボットがいるのが当たり前の世界。

今日は入試当日。朝から心臓のドキドキが止まらない。
家から出る時に優しい声をかけてくれるのは、『AI(人工知能)』搭載のロボット。
勉強中、ノートや参考書を照らしたライト。自動運転で学校や塾の送り迎えをしてくれた車。
IoT(モノのインターネット)で電子機器全てにつながれたロボットは、
これまでの私を片時も離れず一番近くで見てくれていた。
「きっと、大丈夫」そのロボットが言ってくれている。
信じよう。自分自身と、『愛』を持って自分を見守ってくれている新しい家族を。

今より少し先の未来。私たちの生活は『AI』を搭載をした電子機器がIoTでつながり、
今よりももっと便利で、もっと『愛』あふれるものになっているでしょう。
大阪工業大学は、人に優しい最先端技術を実現し、
すべての人たちが笑顔で幸せに過ごせる豊かな未来を切り開いていきます。

わたしたちの挑戦と意思が、夢を目標に、空想を現実に変えていきます。

今、現実が、少しSFに近づいている。

研究室TOPICS [マルチモーダルUIデザイン研究室]人々の快適な生活を創出するため、一人ひとりのニーズに合わせた革新的な機器やサービスを「デザイン」する。研究室TOPICS [マルチモーダルUIデザイン研究室]人々の快適な生活を創出するため、一人ひとりのニーズに合わせた革新的な機器やサービスを「デザイン」する。

家庭にある全ての機器がネットに繋がり(IoT:モノのインターネット)、それらが統合して快適な生活をサポートしてくれる未来。
マルチモーダルUIデザイン研究室(松井謙二教授)では、そのような生活を実現するためのシステムやパーソナルロボットの研究開発を行っています。
松井先生にAI(人工知能)やIoTの現状やこれから、2017年4月に開設した新学部「ロボティクス&デザイン工学部」での新しい学びについて語ってもらいました。
※UI: User Interface

AIが進化していく中で、私たちの生活はどうなるのでしょうか。

今後、超高齢化・小子化の時代にあっても、私たちの生活は知的な機器、サービスを活用することで、より便利で快適なものになっていくでしょう。AIやIoTで、個人の趣向や生活パターンの情報が収集・蓄積され、本人が気づかないうちにAIによってサポートされている、そんな未来がくることが予想されます。

現在は、過去に例のないスピードで技術とそれに伴う産業が革新しています。3~5年後、例えば現在の高校3年生が大学を卒業するころには、現時点では存在していない新しい職業が多く生まれますが、そのことを我々はあまり意識していません。大きな方向としては、電子機器やロボットにできる仕事はそちらに任せ、人間はより創造的な仕事に注力することになると考えられます。教育者も将来に対して明確な予測はできていませんが、これからの教育がこの産業革命とも言える時代の中で大きく変わらなければならないのは事実です。AIやIoTを活用して革新的機器やサービスを創出できる創造力にあふれたエンジニアを育成しなければなりません。

研究室ではどのような研究を行っていますか。

様々な課題解決に取り組んでいますが、「家庭の中にあるIoT機器連携」も主要テーマのひとつです。将来的には、今よりも多種多様な機器が家庭内に混在・連携し、ネット環境も複雑化することが予想されます。現在、多くの家電機器メーカー、WEBサービスを提供する企業などがこのような家庭内環境に着目しており、本研究室でもユーザーが簡単に、安心して使うことができるシステムを研究しています。

現在の学生を見ていると、朝起きてから夜寝るまで、スマホを肌から離す時間がほとんどないように思えます。海外でも同じような傾向で、じっくり落ち着いて自分で物事を考える能力がなくなるのではないか、と危惧されています。スマホもそうですが、AIやIoTは便利な反面、負の面も必ずあります。私=I(アイ)がなくなってしまっては元も子もありません。技術とどう向き合っていくのか、を考えるのも大切だと捉えています。

左:IoTでつながった生活のイメージ
右:パーソナルロボットの試作品

AIという言葉自体はよく聞きますが、理解が難しいと感じてしまいます。

それは多様な手法の総称であり、非常に曖昧な使い方をされているからです。簡単な制御システムまでがAIと呼ばれることもあります。私なりには「分類や認識のための便利な数学ツール」ということが言えるかと思います。人間の脳は無数の神経細胞(ニューロン)が複雑に絡まりあい、そのつながりの中でさまざまな情報を交換することで物事を認識しています。AIはその神経回路網を計算しやすいように単純化・数式化した仕組み(ニューラルネットワーク)であると言えます。

現在この分野が注目されているのはなぜでしょうか?

現在はAIブームと言えますが、それにはいくつか理由があります。

一つは、2006年に「ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれる技術が発明され、従来に比べて認識能力が飛躍的に高まったからです。極めて多様で大量のデータを事前に学習させることで、AIが人間を離れて勝手に学習し、独自のルールや知識を身に付ける「知識の自動獲得」が期待されるようになってきました。

二つ目は、演算性能が格段に向上したことです。今までは少ないデータによる学習しか出来なかったのが、現在は数百万というデータを用いて学習が可能となりました。

三つ目として、ビッグデータの利用により、人間よりも高い性能(囲碁、将棋、医療診断など)を得られるようになってきたからです。例えば、ガン細胞の識別について専門家よりもAIが高い診断結果を出したということが報告されています。

今は、どの業界も次代のビジネスを支える手法として、AIやIoT技術を積極的に吸収しています。

社会やAIの進化を踏まえ、今年4月に開設した「ロボティクス&デザイン工学部」や新しい「システムデザイン工学科」では、どのような学びを展開されているのでしょうか。

スマホには、高性能な日本製電子部品が多く使われています。しかし、スマホ自体やそのサービスを提供する「システム」を構築することが、今後の日本にとって極めて重要です。日本のものづくり産業が生き残っていくには、専門技術を磨いていくだけではなく、既存の技術を融合させて新しいもの生み出していく必要があり、このことを「技術を編(あ)む」とも言います。システムデザイン工学科では、AIやIoTはもちろん、「デザイン思考※」や「多様性」をキーワードに、これからのものづくりに必要なシステムを創造できる人材を育成しています。

未来のものづくりと社会の発展を支える人材を育成

※デザイン思考…従来の手法では解決できなかった不明確な問題を解決するため、デザイナーの手法を参考に、①観察②アイデア創出③プロトタイピングと検証を繰り返します。従来の技術重視、市場重視の立場とは異なり、人間重視の立場を採用しています。

デザイン思考の流れ

その他、特色ある取り組みを教えてください。

梅田キャンパスでは、海外の大学では標準となる1年を4つの授業実施期間に分ける「クォーター制」を導入しており、3年次の夏から秋にかけて、授業のない約半年間のギャップタームを設けます。この半年間で、原則すべての学生が海外への留学や企業インターンシップ、企業が抱える課題を学科横断チームで解決するプロジェクトなどに参加します。

企業と連携した取り組みとして、本年度は空間デザインとロボット工学それぞれを学ぶ学生たちが台北科技大学(台湾)の学生と合同で、企業の出した課題に対して解決策を検討するデザイン思考プロジェクトに挑戦しました。異なる専門を持つ者や異なる国の人たちと切磋琢磨する中で、参加した学生たちにはエンジニアとしての成長があったようです。

デザインを学ぶ学生が中心となって作成した
デザイン試作品
異なる学び、異なる分野の学生が一緒に学ぶことで
新たな発見がある

「デザイン思考」にたどり着いたきっかけはなんだったのでしょうか。

本学に来る前は、国内家電メーカーに約30年勤務していました。キャリアの中で海外研究所のマネジメントを行っていた時期もあり、シリコンバレーの研究開発の進め方について学ぶことができました。その時に感じたのは、日本では技術教育は高いレベルにあるが、イノベーション人材育成のための教育はほとんど行われて来なかったという点です。

ユーザー中心の視点を貫くデザイン思考教育がすでに海外では実践されており、「これからの日本のエンジニア教育に必要なのはこれだ」と、直感しました。私が新入社員のころは上司の言うことを守っていれば良かった、でも大学で「デザイン思考」を学んでいたら…おそらくかなり生意気な新入社員になっていたと思います(笑)。今は企業で活躍できるエンジニア育成を目指して大阪工業大学で挑戦しています。

これを読んでいる読者にメッセージをお願いします。

私たち一人ひとりに、創造力やクリエイティブな力は必ず秘められていると信じています。学生たちが何か新しいことやりたいと言ってきた時も「面白そうだ。やってみなさい」と、自由に取り組ませています。それは、挑戦すること、失敗することから多くの事を学べるからです。自ら考え、高い目標に挑戦させることが、これからの教育に必要だと考えています。

これを読んでいるみなさんも、創造力をめいっぱい発揮して自分で考え行動し、「工学技術」と「デザイン思考」でイノベーションを起こす人材になってほしい。産業革命とも言われる今の時代に求められる能力を身に付け、元気に生きていってほしいと思います。

ロボティクス&デザイン工学部 システムデザイン工学科
マルチモーダルUIデザイン研究室

松井 謙二 教授

社会のさまざまな課題を解決するためのシステム(機器+ソフトウェア+サービス)をつくるために、デザイン思考(課題分析→アイデア生成→プロトタイピング→テストのサイクル)を用いて課題解決力を学びます。具体的にはAI技術や対話技術を用いて、パーソナルロボットとさまざまな機器が連携し快適な暮らしを支えるシステムや、高齢者や障がい者のための発声補助装置など、人々を支援するシステムを開発します。

[ 主な研究テーマ ]

  • 発声支援装置のためのハンズフリーユーザインターフェースに関する研究
  • クラウドネットワーク型パーソナルロボットに関する研究
  • 科学教育支援用ロボット技術に関する研究
  • 表情認識を用いた評価手法に関する研究

マルチモーダルUIデザイン研究室

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