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2021年度の弁理士試験合格とこれまでの歩み

知的財産学科 
教授 五丁 龍志

五丁 龍志
2022.02.28
2021年度の弁理士試験の最終合格発表が1月にあり、今回の弁理士試験では、学部4年生のメンバーが最終合格を手にすることができた。
弁理士というと、「理系の資格」という認識の方が多く、文系の本学で弁理士をとっても...という認識をされる方も多いのではないかと思う。
そこで、今回は、近年本学部・大学院で弁理士試験を突破してきたメンバーの状況に目を向けてみようと思う。

2017年より毎年度現役在学生が弁理士試験に合格している。
 2017年 3名(学部2名A君,B君、院1名C君:社会人学生)
 2018年 1名(学部D君)
 2019年 1名(学部Eさん)
 2020年 2名(院F君、Gさん)
 2021年 1名(学部H君)
社会人学生C君は、理系大学院を過去に卒業していた学生で特許事務所に元々勤務してきた学生のため除外する。

まず、弁理士試験には2次試験において、法律科目以外の選択科目の受験が必要とされており、いわゆる「文系の受験生」の選択範囲は「民法」一択である。

2017年の2名は、
 A君は民法を受験して合格。
 B君は情報理論に取り組み合格。
2018年の1名のD君は応用情報処理技術者試験に取り組み合格したため免除。
2019年の1名はEさんは民法を受験して合格。
2020年の2名は、
 1名F君は民法を受験して合格。
 もう1名Gさんは応用情報処理技術者試験に取り組み合格したため免除。
2021年の1名H君は材料力学を選択し、合格。

民法の受験をしている学生も3名(A君、Eさん、F君)いるが、技術系の勉強をして知識をつけて弁理士試験に合格した学生が半数以上の4名となっている。

学生は技術の知識を勉強して身につけ、試験に合格するという結果を出しているのである(注:応用情報処理技術者試験にしても、弁理士試験の情報理論にしても、材料力学にしても、当然であるが、理科系であれば誰でも判る程度のレベルの出題ではない)。つまり、理科系の人と同じようなレベル感での技術に関する勉強を行い、理科系の人が備えた上で受験して合格を勝ち取るレベルの試験で合格を勝ち取る実績をだしている。

次に合格した学生の現在と今後について目を向けてみる。
2017年度に学部で合格したA君とB君は、大学院まで卒業し、大阪市内にある特許事務所で「技術系弁理士」として活躍している。
2018年度に合格したD君と、2020年度に合格したGさんは、この春、大学院の卒業を迎え、いずれも大手メーカーに就職する。
2019年度に合格したEさんは、現在は大学院に在学中である。
2020年度に合格したもう1名F君は、2020年度末に大学院を卒業し大阪市内にある特許事務所で「技術系弁理士」として活躍中である。
今回、合格した学生H君は大学院へ進学予定である。

また、在学中の学生は、全員、特許事務所にアルバイトでお世話になり、技術系弁理士として特許実務を経験し、現に技術を取り扱っている(D君、Eさん、H君)。

このように、過去の合格者からいえることは、2017年から本年度まで弁理士試験を突破した学生は、全員技術系弁理士として特許事務所や企業で活躍するという流れができているのがとても興味深い。

文系出身の弁理士は商標担当、技術は理系出身の弁理士という世界に風穴があくことを楽しみに、学生には今後も研鑽を積んでもらいたいと切に願っている。