「自動車産業を支えるものづくり」

機械工学科 
教授 上辻 靖智

上辻 靖智
2012.04.05
  • 図1 自動車エンジン用ギヤの試作品

    図1 自動車エンジン用ギヤの試作品

  • 図2 コンピュータによるギヤのプレス成形解析

    図2 コンピュータによるギヤのプレス成形解析

  • 図3 コンピュータによるギヤのかみ合い負荷試験

    図3 コンピュータによるギヤのかみ合い負荷試験

 みなさんの最も身近な機械である自動車に関する研究事例を紹介します.よくご存じのように,低炭素社会における新しい自動車として,ハイブリッド車や電気自動車に加えて,エンジンを極限的に改良した超低燃費車も開発されています.アイドリングストップやターボチャージャーなど様々な技術をうまく融合し,これまでにない高性能な自動車が次々に開発されています.いずれの自動車においても動力を伝達する多種多様なギヤが重要な役割を果たしておりますが,ギヤのかみ合い時に発生する騒音も今後の研究課題となっております.

 一方,中国をはじめとする新興国では人件費が安く,わが国で製造する場合と比較して,約30%安く製造することが可能です.歴史的な円高の影響もあって,生産拠点の海外進出が加速し,国内産業の空洞化が大きな社会問題となっております.これを防ぐには,新技術開発により自動車国内生産部品の高性能化と低コスト化を実現し,国際的競争力を向上することが強く望まれています.

 このような現状において,滋賀県にある株式会社平安製作所では,自動車の動力伝達ギヤを対象として,ギヤ部を従来の切削加工(素材を切り削って加工する)からプレス加工(素材を金型にはさんで成形する)に工法転換することで低コスト化を実現し,さらにギヤ部に積層構造を採用することでかみ合い時の騒音を低減できる革新的なギヤが開発されています.この新しい自動車エンジン用ギヤの開発は,経済産業省の国家プロジェクト(戦略的基盤技術高度化支援事業「金型・溶接技術の高度化による環境に優しい低コスト吸音型積層ギヤ製造工法の開発」)に採択され,大阪工業大学も研究機関として本プロジェクトに参加し,ギヤの設計・開発をサポートしております.図1は,3枚の素材を積層して溶接したギヤの試作品です.図2は,コンピュータシミュレーションにより,金属板を金型に挟み込んでプレス加工する様子を解析した結果で,われやしわが発生せずうまく成形できるかを試しています.また,図3はギヤがかみ合った場合にどのような力が作用してどのように変形するかを解析した結果で,ギヤが壊れることなく安全に使用できるかを試験しています.卒業研究において,産業界から要求された実践的な研究課題にチャレンジし,わが国を支える新しい自動車づくりに貢献することも可能です.みなさんもこのような研究に是非参加してください.

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大阪工業大学