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ものごとの強み弱みと顧客ターゲットに着目したアイデア発想メソッドの開発

建築学科 
教授 寺地 洋之

寺地 洋之
2016.03.28
  • 図1 強み弱みカード

    図1 強み弱みカード

  • 図2 5x5x2マトリックスを使った強み弱み診断

    図2 5x5x2マトリックスを使った強み弱み診断

  • 診断風景(5~7人のメンバーで実施)

    診断風景(5~7人のメンバーで実施)

強み弱みと顧客ターゲット
 ものごとを議論するときにカード(付箋など)に思うことを記述し、記述されたカードをグループごとにまとめて意見を集約していくKJ法を使ったことがある人は多いと思います。KJ法は思考がアウトプットされ文字として見える化されていくので、様々なアイデア出しなどにおいて有効なメソッドであります。しかし、KJ法を使ったあと、ものごとの問題点や類型化は進んだが、次に何をすれば良いのかは見出しにくいことが多々有ります。また、発言力が大きい人に議論が流されるという傾向も持っています。
 これらのことをふまえ、当研究室では、ものごとを整理整頓しアイデアを発展させるメソッドの開発を行っています。メソッドの根幹は、ものごとには必ず強みと弱みがあることと、製品には必ず顧客ターゲットがある、ということに着目している点です。共同研究のパートナーは、建築分野にとどまらず、企業で製品企画を担当している人をはじめ、企業経営、デザイナー、マーケッター、コピーライター、弁理士、弁護士、税理士などの異業種のメンバーで研究・考案しています。

4つのツールと2つのフェーズ
 当メソッドは、我々が開発したオリジナルツールである、「強み・弱みカード(図1)」「5x5x2マトリックス(図2)」「アレンジカード」「ペルソナカード」の4点を使います。メソッドの進行は大きく2段階に分かれます。まずはものごとの強み・弱みをあきらかにする第1フェーズ、次に第1フェーズであきらかにした強みをさらに強めるアイデア抽出と弱みを反転させて強みに変えるアイデア抽出の第2フェーズです。
 無地のカードや付箋を配られて、「思いつくことを書いて」と言われて困ったり、書き出したカードのグルーピングに迷ったことがある人は多いと思います。我々が開発したオリジナルツールは、思考を整理整頓し記述を誘発しやすい枠組みが組み込まれています。そしてアイデア発想が確実にステップアップするシステムを構築しています。
 このメソッドは2011年より日本知財学会年次研究発表会などで毎年発表してきています。2014年には過去3年の発表内容が評価され日本知財学会研究発表会企画セッション(90分)に採択されました。知財学会員のみなさまの前でメソッドの公開実演を行い、多くの反響をいただきました。その後は実作品をもとにしたケーススタディーを重ねながら、現在は当メソッドの一般供与を目指してマニュアル作成などの最終段階に入っています。

アイデアは偶然の思いつきで生まれない、論理的な思考を発展させた上に閃く
 アイデアは「イメージしろ!」「考えろ!」と言われても生まれません。当メソッドのような手法(コツ)を身につけ、論理的かつ発展的に思考を展開できるようになればアイデアは生まれるようになります。当研究室では、ものづくり大国日本を支えるには、このようなメソッド開発も重要であると考え、異分野の方々や学生たちと日々研究と実践を繰り返しています。