EARTH SCIENCE CALLING         「地球的視野」は地球科学で!

一般教育科 
教授 田中 淳

田中 淳
2018.06.26
  • 図1:地球システムの模式図。システムは地圏(茶系の色)、水圏(濃い水色)、気圏(薄い水色)、<生物圏(緑色)、人間圏(黄色)などのサブシステムから構成される。

    図1:地球システムの模式図。システムは地圏(茶系の色)、水圏(濃い水色)、気圏(薄い水色)、<生物圏(緑色)、人間圏(黄色)などのサブシステムから構成される。

  • 図2:「火星移住」をテーマにした PBL(課題解決型)授業の風景。数名のチームで火星移住に関する様々な課題を議論している。

    図2:「火星移住」をテーマにした PBL(課題解決型)授業の風景。数名のチームで火星移住に関する様々な課題を議論している。

工学部に地球科学って必要?
 私は「工学の基礎」科目の中で「地球科学」を教えていますが、授業で使用する岩石サンプルや模型を運んでいるとよくこんな風に言われます。「地球科学ですか〜!?ロマンがあっていいですね〜」。褒められているようですが,「工学みたいに実社会とはあまり接点がないけれど楽しそう(趣味的)でいいですね〜」と言われているような気が時々してしまいます。
 では,工学部で地球科学を学ぶ意味ってどこにあるのでしょう?皆さんは、「地球的視野」と言われどのようなものを想像しますか?本学では卒業時に身に付けるべき能力をDiploma Policyとして掲げていますが,その中に「地球的視野に立ち・・」という文言があります。実は工学部で「地球的視野」を考えるとき,地球科学系の科目は欠かせません。では地球科学で得られる「地球的視野」とはどのようなものでしょうか?

地球をシステムとして捉える
 私の地球科学では地球をシステムとして捉えます(図1)。地球システムは「地圏」,「水圏」,「気圏」,「生物圏」などからなり,その中に私たちの「人間圏」も含まれます。私たち人間の歴史は「知」の歴史とも言えますが、それは地球システムとどのように関わってきたのでしょう?おそらく最初は石ころ(地圏のかけらですね)を石器として利用することからスタートしたのでしょう。その後,地圏の土壌部分を利用して農耕を行うことで生物圏をコントロールし始めます。農耕が大規模化すると灌漑など地圏や水圏に手を加え始めます。さらに私たちは地圏から銅や鉄などの金属を取り出し,化石燃料や核燃料からエネルギーを生み,シリコンから集積回路を作り,ついには取り出した物質を巧みに組み合わせてロケットで地球システムを飛び出し,宇宙から自分たちの星を俯瞰する存在となったのです。私たちは地球システムの物質とエネルギーを巧みに利用して大躍進の歴史を刻んだのです。皆さんの志す「工学」とは、この過程で蓄積した技術・知識の体系です。この躍進の結果、私たちは地圏、水圏、気圏などを変化させるほどの存在になりました。地圏の炭素を気圏に移すことで生じる温暖化はその典型例です。一方それほどの存在となった私たちも、ひとたび地震、津波、火山、土砂災害など地球システムの変動が起これば、翻弄され無力な存在であることを思い知らされもするのです。
 このように地球システムの中で人間の歴史や現状を考えるとき、とくに私たちに大きな飛躍をもたらした「工学」を学んで未来に関わろうとする皆さんにとって、地球を正しく理解し「地球的な視野」で物事を考える力が大切であることが分かります。

大阪工大の地球科学系科目
 私は「地球科学」や「地球システムと人間」といった地球科学系の科目を担当しています。加えて物理学や生物学の教員と共同で「火星移住」をテーマにした課題解決型授業(PBL型授業)も担当しています(図2)。火星移住は工学の最先端の興味深い課題を多く含みますが、一方で学生は火星の過酷な環境を知ることで、地球のありがたさを再認識するESD(持続可能な開発のための教育)を受けることにもなります。
 受験生の皆さん、自分の興味ある専門の知識はもちろんのこと、これらの科目を通して大阪工業大学で地球的視野をもった懐の深い技術者を目指しませんか!


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