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文学作品から学ぼう!

総合人間学系教室 
講師 瀧川 宏樹

瀧川 宏樹
2019.06.05
  • 本学の図書館にも『ジェイン・エア』が収蔵されています。

    本学の図書館にも『ジェイン・エア』が収蔵されています。

  • 「れんが」と呼ばれるディケンズの代表作の原著。かなりの分厚さです!

    「れんが」と呼ばれるディケンズの代表作の原著。かなりの分厚さです!

 こんにちは。総合人間学系教室の瀧川宏樹です。大阪工業大学の授業では英語を担当しています。本学の英語の授業では、英字新聞を読むリーディング、ネイティブの先生によるオーラル・コミュニケーション、TOEICの演習、工学英語に特化した授業などが行われています。英語が苦手という学生さんもいるかと思いますが、なるべく分かりやすいように、また皆さんが自主的に英語を読めるようになるよう心がけて授業をしています。

 私の専門はイギリス文学研究です。特に、ヴィクトリア朝(1837-1901)時代の、ブロンテ姉妹、チャールズ・ディケンズ、エリザベス・ギャスケルという作家の小説を中心に研究を進めています。文学というと、難しそうな印象を受けるかもしれません。しかし、ヴィクトリア朝の小説は、ストーリーが目まぐるしく展開していくので、読者は一度小説の世界に入り込んでしまうと、おもしろく最後まで読めてしまいます。

 文学作品は、過去の人たちの生き様を鮮明に伝えてくれます。たとえばシャーロット・ブロンテの『ジェイン・エア』はフェミニズム小説の元祖と呼ばれています。当時は今現在よりもはるかに女性差別が激しい社会でした。作者シャーロット・ブロンテは、本名の女性名で出版すると、それだけで過小評価されるので、女性名とは分からないペンネームを使用していました。それほど女性差別が激しかった中で、シャーロットは『ジェイン・エア』という作品を通じて、「女性にも自分たちの能力を生かす場が必要だ」と訴えました。本作品はイギリスという国を超え、数多くの人たち(もちろん日本人も)が、これまでこの言葉に感銘を受けてきました。

 当時の小説はかなり長く、ネイティブの研究者が‘brick’(「れんが」)と表現するほど、本は分厚いです。その分、読み終わった時の達成感はたまりません。「れんが」と呼ばれるほど長い作品読破にぜひチャレンジしてみませんか!?