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機械工学科「システムデザイン研究室」HEADLINE

ガンダムを超える(?)、宇宙ロボットの開発!極限環境下のロボティクス!

 2015年4月、機械工学科にシステムデザイン研究室(System Design Laboratory: SDL)が発足しました。SDLでは、橋本 智昭 講師のご指導のもと、学部4年生10名が最先端ロボット工学・制御工学に関する研究に日夜励んでいます。橋本先生に、SDLの研究課題の一つである、極限環境下で活躍するロボットの開発研究を取り上げ、その内容を簡単に紹介頂きました。
   
1.宇宙ロボットの開発と極限環境下のロボティクス
 宇宙航空研究開発機構(Japan Aerospace eXploration Agency: JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ」、「はやぶさ2」(図1)には、最新鋭の宇宙ロボット「ミネルバ(MINERVA)」(図2)が搭載されました。小惑星到着後、ミネルバを小惑星の表面に降ろし、各ロボットはそれぞれホップして移動し、小惑星表面の探査を行います。
 宇宙ロボット「ミネルバ」の環境は、どんなものでしょうか?1)地上から宇宙へ(ロケット打ち上げ):大きな加速度、過酷な振動環境。2)宇宙航行中:探査機「はやぶさ」に格納されているので、ほぼ安定な温度環境(若干、低温環境)、しかし小惑星到着まで1-3年の間、電気電子機器を含むすべての機器が放射線に曝される。もちろん、真空・無重力環境(困難な熱移動など)。3)小惑星到着・小惑星表面探査:小惑星表面に降下後、表面は100℃を超える高温。ロボット自らの自律制御(地球から通信による制御は不可能)による運動と探査。
 以上のように、我々人間がこれらの環境に耐えミッション(使命)を遂行することは到底不可能であり、我々の代わりに活動できるロボットが必要になります。特に、取り巻く環境が物理的に非常に厳しく、想像を絶する環境であり、しかも大きくその環境が変化する中で動くロボット、すなわち極限環境下のロボティクス技術が必要不可欠なのです。システムデザイン研究室では、これらの研究課題に果敢に挑戦しています。
 さらに、本研究室では、同じ機械工学科の「宇宙推進工学研究室」や関西の宇宙関連企業と共同で、国際宇宙ステーション周りの環境調査とその不良個所の修繕のための、ロケットエンジンを装備した(宇宙を自由に移動できる!)宇宙ロボット(まるでガンダム(?))の開発研究も開始しました。
 
       図1 JAXA小惑星探査機「はやぶさ」(左図)と「はやぶさ2」(右図)(JAXA提供)

     
      図2 小惑星探査機「はやぶさ2」搭載宇宙ロボット「ミネルバ(MINERVA)」(JAXA提供)

2.極限環境とは?
 一般的な人・動植物の生育環境から逸脱している特殊な環境のことを極限環境と呼びます。以下にいくつか例を挙げます。
 @ 火災環境:燃焼や爆発により高温環境下となり、酸素濃度が低下し有害ガスが発生し、煙や塵が巻き起こる環境
 A 水害環境:豪雨や津波により、浸水・がけ崩れ・洪水などが発生している環境
 B 汚染環境:重油流出事故による海洋汚染や原発事故による放射能汚染が発生している環境
 C 宇宙環境:高真空・高放射線・無重力といった特徴のある環境

3.機械工学の4力(よんりき)とは?
 機械工学は主に4つの力学を基礎としていることが広く知られています(図3)。材料力学・流体力学・熱力学・機械力学が、機械工学の4力(よんりき)と呼ばれています。通常、ロボットの開発研究に必要な知識として、ロボット工学・制御工学・計測工学などが挙げられますが、それらは全て機械力学分野に分類されます。
         
                   図3 機械工学の4力(よんりき)

4.極限環境と4力の関係は?
 我々身の周りの通常環境で活躍するロボットの開発では、機械力学の知識は必要ですが、熱力学・流体力学・材料力学の知識の必要性はあまり高くありません。しかしながら、極限環境で活躍するロボットを開発する場合、機械力学の知識だけでは不十分であり、状況に応じて、熱力学・流体力学・材料力学の知識も必要になります。例えば、火災環境でミッションを遂行するロボットを開発する場合、熱力学に属する燃焼工学の知識や、材料力学に属する高温に強い材料の知識などを活用しながらロボットの開発を行う必要があります(図4、5)。水害環境でミッションを達成するロボットを開発するためには、流体力学の知識が必要になります。
      
                図4 火山災害時に人命救助の支援を行うロボット

      
                     図5 深海を探索するロボット

5.極限環境下で活躍するロボットの開発研究と日常生活応用
 さまざまな極限環境下でさまざまなミッションを達成するために、機械工学の4力を駆使してロボット開発を行うことが、本研究課題の目的です。そこには、人間の能力をはるかに超えた性能が求められています。超最先端の機械工学技術が必要不可欠です。さらに、開発された、極限環境ロボットは、我々の常識を超えた能力を持っているので、日常の我々の生活を支援するには余りある能力を提供できるでしょう。
 ぜひ、この未開拓の研究フィールドに足を踏み入れて、道を切り開いていきませんか?
          
システムデザイン研究室 HP: http://www.sys-lab.org/


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システムデザイン研究室
第一回
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