機械工学科の近況
小型人工衛星プロイテレス打ち上げ決定
工学部機械工学科・教授  田原 弘一
大阪工業大学・電気推進ロケットエンジン搭載小型スペースシッププロジェクト(Project of OIT Electric-Rocket-Engine onboard Small Space Ship(PROITERES:プロイテレス)、公式ホームページ:http://www.oit.ac.jp/elc/scl/oitsat/index.html)では、電気推進ロケットエンジンを搭載した小型人工衛星(図1)の2010年度インドでの打ち上げが決定し、衛星開発の最終段階に入っています。

図1 プロイテレス衛星の概略図
図1 プロイテレス衛星の概略図

本学学部学科の教員・学生の横断的な参加による、広範な工学技術の開発・実践を通して、高度な研究・教育活動を目指しています。

2007年4月に開始された本プロジェクトには工学部・機械工学科、電気電子システム工学科、電子情報通信工学科などの学生、延べ50名が参加してきました。この間、2008年度は学生主体で「宇宙は夢ではない!努力すれば誰でも手が届く!」を合言葉に衛星エンジニアリングモデルの設計製作が行われました。2009年度には衛星エンジニアリングモデルの改良、環境試験、電気統合試験などが行われ、最終の衛星フライトモデルの設計が完了し製作に着手しました(図2・3・4)。

図2 衛星エンジニアリングモデルの振動試験(左図:振動テーブルに取付中の衛星、右図:振動試験開始直前の様子)
図2 衛星エンジニアリングモデルの振動試験(左図:振動テーブルに取付中の衛星、右図:振動試験開始直前の様子)

図3 衛星電気系の真空環境試験(左図:宇宙の真空環境を模擬する大型真空チャンバー、右図:すべての電気機器が真空中で動作するか確認中)
図3 衛星電気系の真空環境試験(左図:宇宙の真空環境を模擬する大型真空チャンバー、右図:すべての電気機器が真空中で動作するか確認中)

図4 小型クリーンルームにて衛星フライトモデルの製作中
図4 小型クリーンルームにて衛星フライトモデルの製作中

また、日本の小型人工衛星開発のパイオニアである東京大学航空宇宙工学専攻・中須賀真一教授、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や機器の共同開発でお世話になったメーカの技術者の皆さんをお招きし、3回の衛星開発技術レビュー会(2009年11月,12月、2010年3月)を開催し(図5)、多くの貴重なアドバイスを頂戴いたしました。2010年度に入り、衛星製作が順調に行われると共に、最終環境試験の準備、インド側との交渉・打ち合わせ、経済産業省との衛星輸出に関する許可申請、税関審査準備などが着々と進められています。

図5 第3回衛星開発技術レビュー会の様子
図5 第3回衛星開発技術レビュー会の様子

■プロイテレス衛星のミッションは、
1)電気推進ロケットエンジン(図6)による小型衛星では世界初の動力飛行(地球低軌道から軌道上昇をロケット連続噴射により達成(宇宙動力飛行の実現))(ほとんどの人工衛星・探査機は、地上打ち上げの反動で飛行しているようなもの。自由に宇宙を飛翔することはほとんどできません。)

図6 電気推進ロケットエンジンの噴射
図6 電気推進ロケットエンジンの噴射

2)高解像度カメラによる地球観測、特に関西地区、淀川域の環境観察(現代GP「淀川学(環境教育)の構築と実践」の支援)。
人工衛星のスペックは、質量 10kg(大きさ:一辺30cm程度の立方体)、電力10W、高度670km(極軌道(北極と南極の上空を通過する軌道))、衛星寿命1年以上です。

インド宇宙研究機関のPSLVロケットでの相乗り衛星として、インド南東部のサティシュ・ダワン宇宙センターから打ち上げられます。今後の予定としては衛星フライトモデルを完成させその最終総合試験を行い、インドへ輸出する予定です。

本プロジェクトは、その積極的な実践ものづくり教育活動が話題になり、新聞各社、NHKなどマスコミで多く取り上げられてきました。その内容から学生主体の生き生きとした活動の様子がお分かりいただけるでしょう。「夢は必ず実現できる!自分で実現するんだ!」意気込む学生諸君。これからも同窓会の皆様からの志の高い学生諸君の応援、ご支援、よろしくお願いいたします。

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