宇宙推進工学研究室<Advanced Rocket Lab.>



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    イオンスラスタ
     イオン推進機は図1に示すように、多孔板に高電圧を印加し静電力によりイオンを加速噴出して推力を発生する装
    置である。推進剤には電離電圧が低く、粒子質量の大きいキセノンが通常用いられる。電気推進機の中では最も比推
    力が大きく、3000〜10000秒である。 しかし、静電加速の宿命としてイオン流が空間電荷制限を受け、推力密度は小
    さい。プラズマ生成・閉じ込め方法によりいくつかの種類に分類されるが、最も開発が進み飛行実績の多いカウフマ
    ン型(発散磁場型)とカスプ磁場型が主流である。 ヨーロッパではARTEMIS衛星上で宇宙実験(2001年)が行われ、
    アメリカでは深宇宙探査(Deep Space-1(1998年))、人工衛星の南北位置制御(XIPSイオンエンジンシステム(米
    国ヒューズ社(現在ボーイング社の一部)))などのミッションで実用化されている。 日本でも技術試験衛星(ETS
    -Y、COMETS)などに数基のイオン推進機が搭載されてきた。また、2002年には旧宇宙科学研究所の小惑星探査(MUS
    ES-C)ミッションにマイクロ波放電式イオン推進機(推力8mN、比推力3000秒)が4台搭載され(最大3台同時運転)
    その「はやぶさ」スペースクラフトは図2に示すように順調に宇宙を航行している。
    図1 イオン推進機の構造と加速原理
     イオン推進機は完成度の高い推進機であるが、低推力である。 また、10000時間を超える地上耐久試験が望まれ莫
    大な時間と費用を要するため、数値シミュレーションによる正確な耐久性の評価が要求されている。
     日本は木星探査用推進機として5000秒以上の高比推力と数万時間オーダーの耐久性を併せ持つ推進システムの研究
    に着手している。10000秒の比推力と20000時間以上の耐久性もつマイクロ波放電式イオン推進機「μ10HIsp」の開発
    を目指し、イオン加速電圧の増大による高比推力化を実現するために、基礎となる推進機各部の高電圧絶縁技術の向
    上を図っている。たとえば、30kV耐電圧のDCブロック、ガスアイソレータなどが対象となる。
    図2 マイクロ波イオン推進機を搭載した「はやぶさ」スペースクラフト (JAXA提供)





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