歴代のロボット達 (2008-)
大阪工業大学で製作(主にコメント)したロボット達.ほとんどが名無し.名を持つことが大事だと思うんだよ.
このページでは実機を中心に紹介.研究の進度などの理由で紹介できない実機もあり.
あと実機と同じ数ぐらいシミュレーションもあるが,それは追々ご紹介.
2008年度 2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度 2015年度
 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度

2008
この年に赴任.
- 筋駆動ロボットハンド -

大工大赴任一年目に作成したロボット.研究室立ち上げたばかりでモノもないしで,とりあえず市販のロボットハンドを買ってきて全関節を人工筋で動かしてみようとしたもの.案の定アクチュエータの量が大量になり,干渉しまくり.仕方がないのでアクチュエータを3群ぐらいに分けてぶつからないようにしたところ,写真のようにえらく長いものが出来上がり.最初に担当した卒研生の皆さん,黙々とアクチュエータを作って配線してくれた.工大生ってやろうと決めたことはしっかりやり上げるものなのだなぁ,と,ロボットよりも学生の姿勢に驚いた.

- 筋駆動ロボットハンド(シミュレーション) -

この年はとりあえずモノがないということで,シミュレーションも頑張ってもらった.写真はこのロボットハンドをOpen Dynamics Engine上で組み上げたもの.ハンドの図面も購入時にもらったものの,細かい寸法が書かれていなかったため,この研究担当の学生はノギスで日々パーツを測定していた.こういう地道な作業は本当に得意だな,と,これもまたシミュレーションより学生に驚いた.この年は私も比較的時間が作れたため,シミュレーション用のライブラリもどきをいくつか作った.これは現在(2015年現在)でも一部使われている.いや,それはそれで危険だと思うんだけど.この年は他にも跳躍ロボットのシミュレーションも作ったりで,一年終わってみれば結構動くものができた年だった.


2009
この年にこのHPのフレームワークを学生さんが組んでくれた.ありがとうありがとう.
- 体幹つき四脚ロボット プロトタイプ -

この年に機械工学研究部(機研部)出身の学生が研究室に入る.彼は朝にアルミの板と棒材を持って意気揚々とモノラボに行ったかと思うと,夕方にはパーツにして持って帰ってくる猛者.この年から体幹付き四脚ロボットに挑戦し始める.体幹は柔軟素材とケミカルウッドを層状に重ねたもので,柔軟素材として「人肌ゲル」を使ってみた.そう,商品名が「人肌ゲル」.これを事務に稟議上げるときが少し恥ずかしかった.体幹の四隅にはサーボモータをそれぞれ一つ取り付け,脚が前後に動くようにした.写真は当時モータを動かすドライバやコントローラもなかったので,とりあえずVStoneのモータコントローラをRobovie-Xから引っ張ってきて動かしてみた.いやまあ,その後きちんと独立させたけどね.

- 体幹つき四脚ロボット 二次元平面拘束 -
(開発コード:亀井K子さん,リリース名:Kko)


上記の学生さんが後半に作ったロボット.人肌ゲルではちょっと柔らかすぎるということで,信越化学工業のシリコン剤を弾性素材として使う.脚は(研究室に転がっていた)サーボモータをそれぞれ一つずつ取り付け,脚を前後に振ることで前に進ませる.体幹の中にワイヤを通し,ワイヤの端をお尻の部分にあるウインチで巻き上げることで,体幹を圧縮させている.これによってシリコンの抜け落ちを防いでいるのと同時に,このウインチの巻き上げの力を調整することで体幹の弾性を変更している.このロボットはその後翌年入ってきた学生に引き継がれ,彼が半年延々と実験した結果が論文となった.どれだけ動かしても壊れない頑丈なボディが魅力.

robot hand
- ロボットハンド(改) -


昨年作ったロボットハンド・・・現行では実験ができないので,とりあえず指一本だけ動かすことにした.駆動源は昨年と同じ,マッキベン型空気圧人工筋.一つの指に三つの関節があるから,拮抗駆動(一つの筋は一方向にしか関節を曲げられないので,一つの関節を自在に動かすには二つの筋が必要)するので,6つの筋が必要なんだけど・・・あれ,なんで4本なんだろう.この年入ってきた学生さんがしっかり測定をしてくれたおかげで,この研究の方向性が見えてきた.

robot hand
- バケツプリン -


この年は料理を作るのが好き(食べるのは苦手・・・夕飯はブラック○ンダーで良いらしい)な学生が来て,コス○コで大量買いをしては同級生に食べさせるという修行を科していた.パスタの鬼盛りとエンドレス素麺は思い出すだけで胃が酸っぱくなる.そんな彼がある日作ったのが,バケツプリン.文字通りバケツにプリンの素を入れて冷やし固めたもの.どうも記録によると,上記ロボットハンドを担当していた学生の誕生日のため(という理由を付けて)作ったものらしい.このプリンはその後特製容器にあけたのだが,数秒後に自重に耐えきれず崩れ落ちていった.崩れたプリンは研究室のメンバで(苦しみながら)食べました.

2d biped revised
- 体幹付き四脚ロボット 二次元平面拘束(改)-
(開発コード:亀井K子さん2号,リリース名:Kko2)


先の四脚ロボットから脚を空気圧の直動アクチュエータに変更.後方に蹴り出して動く.ロールとピッチ周りは腹側に取り付けたボールキャスタで回転しないようにして,二次元平面上での歩行の様子を観察した.当初は頭部にマイコンを乗せていたのだが,前後のバランスをとる必要が出てきたために粘土を乗せるだけとなる.アクチュエータ駆動のための電磁バルブを外部に置くこととなったため,実験では上部からチューブを垂らしたちょっとなんともな状態となる.相変わらずロボットは壊れない.実験をするのに理想的なロボットだった.担当した学生さんは毎日淡々と実験をして,大量のデータを取ってくれた.研究室に入る前と後とで趣味が180度ほど変わったのはきっと気のせいだ.結果をまとめて,大工大に移って初めての論文投稿に.


2010
この年は特によく飲みよく叫んだ気がする.
1dof-joint
- 1自由度モデル -

前年扱った3自由度の指モデルから,まずは1自由度のモデルをしっかりたててから自由度を増やそうという(今思えば至極真っ当な)結論になる.ということで一つの関節を二つの空気圧アクチュエータで支えるモデルで,リンクの先に力を加えてみる.空気圧アクチュエータは柔軟性があるので,外力に対して受動的に伸びる.これに加えて,ボイルの法則より内部の圧力が変化する.この内部の圧力変化を測定値として,外力により回転した関節の角度と外力の大きさを逆算してみましょう,という研究を始める.非線形の要素がガッツリ入るので,現実的な部分については近似をして,何とか関係式を求める.この研究を担当した学生さん,四年生はこの一自由度で修士は関節を一つ増やして二自由度の研究をすることになる.

double jumping leg
- 跳躍ロボット -

またもや機研部からエースがやってくる.彼もまた板と棒材を朝に持っていくと夕方にはパーツにして帰ってくる男だった.彼の研究テーマは空気圧人工筋を持った跳躍ロボットの開発と運動の実現.ホワイトボードに描いたラフデザインを元に,見事にパーツの図面に落として二脚の実機を作ってくれた.ただ残念ながらそれぞれの脚がうまく同期がとれず,ジャンプをさせると右に左に大暴れ.フレームの強度が跳躍の衝撃に耐えきれず,板金が数枚折れ曲がってしまった.

spine+biped testbed
- 体幹付き二脚歩行ロボット -

上記の学生さん設計のロボットその二.彼の研究テーマではなかったのだが・・・.設計自体は赴任直後から暖めていたもの.受動歩行ロボットにヒトのような骨盤とか体幹を付けてみたらどうなるかな,という話を当時の院生と話していたのだが,機は熟したということでヒトの体幹・・・まずは剛体と弾性体を取り混ぜた脊椎機構を模したロボットを作ってもらう.この年はとりあえず火入れということで,各関節が動くことと一歩目,二歩目の足が出るところが確認できて終わり.動きも悪くないし,来年以降よさげな実験ができそうという手応えは掴んだ.

クロチャン
- 四脚3次元歩行ロボット -
(開発コード:黒点虎,リリース名:Kro)


昨年まで二次元での解析をしていた体幹付きロボットがバージョンアップ.今度は三次元空間を体捻りながら歩くぜ! ということで開発したのがこのロボット.足はマッキベン型アクチュエータで駆動.体幹は二次元のモデルを拡張して,円盤状の椎間板と椎骨を層状に並べる.これでギャロップ時の体幹のしなりや,クロール時の体幹のひねりが実現できるようになる.とはいえ残念ながら足のストローク長が稼げず,ギャロップでも前肢後肢が跳ねる前に肘や膝が地面に衝突してしまった.とはいえなかなか良い感じのロコモーションができて,四脚三次元歩行の先鞭になった.なおこの研究をしていた学生は修士卒業後,社会人を経て東京の大学院の博士課程に行った.学会での論戦が楽しみ.


2011
この年はM2M1合わせて院生が6名+学部生の大所帯に.
single leg
- 跳躍ロボット改 -

昨年作成した二本脚の跳躍ロボット,とりもなおさず左右のバランス取りが難しいということで,一本脚にする.フレーム等も刷新して,衝撃に耐えられる程度に頑丈にした.とりあえずは二次元平面上での跳躍ができるようにブームも取り付ける・・・のだが,このブームの取り付けをこの時点では間違っており,前後とその場回転はできるものの前後に移動することができず,二次元平面+αの拘束となってしまった.そのせいなのか何なのか,このロボットは筋収縮タイミングをきちんとチューニングすると空気の圧が無くなるまで安定して跳ぶことができる.これだけ跳べる跳躍ロボット(回転関節付き)は,世界探してもこの一機だけでは??

デモ用機体
- 1自由度デモ機 -

昨年度数理モデルと実機の検証で確認した1自由度モデルについて,デモ用にマイコンで動作するバージョンを作成.写真では電源を付けているが,こちらもバッテリーで駆動可能.圧力と外力の関係式は単純な線型モデルで表せることが証明できたので,計算もワンチップマイコンでOKですよ,ということで,AVRで駆動することに.力センサの結果と推定結果がほどよくマッチしていて(それでいて時々違う結果が出ていて)良い感じで推定できている様子が見せられたのではないだろうか.


2012
この年は研究室始まって以来の4名修論.さらに四年生には,NHKロボコン初出場にしてベスト8に導いた伝説のリーダー加入.
15-dof robot hand
- 15自由度ロボットハンド -

件のリーダー作.2008年に人工筋駆動の15自由度ロボットハンドを作ったが,今回はフレームも自作.ものラボにある3Dプリンタを駆使して,実際加工したら無理そうな物まで作ってしまった.各関節はワイヤ(釣り糸)を通して駆動する形態で,それぞれ独立に駆動.なかなか良い動きをするのだが,ワイヤの取り替えなどメンテナンスがちょっと難儀しそうな作り.このロボットと筋電信号を組み合わせて,最後はグー・チョキ・パーが出せるシステムを作ってた.

robot hand
- 空気圧アクチュエータ駆動ロボットハンド -

5自由度を持つロボット.空気圧アクチュエータによる駆動のため,各関節とも一方向にしか動かない.指先にシリコーンの指サックを取り付け,柔らかさを利用して路面状に置かれた薄いコインをピックアップする研究に使われた.柔らかい指先を押しつけて持ち上げるというアプローチは他にやってないんじゃないかなぁ.ということで継続して研究続けたいのだが,人手が足りず現在休止中.近々復活させよう.
なおこの指は上記のリーダーが3Dプリンタで作成.その他は設計を一から勉強し始めた卒研生が全部作り上げた.

robot hand
- 四脚シミュレーション -

この年の前年から,MapleSimなる物理シミュレータを使ってシミュレーションをし始めていた.MapleSimはなかなか良いシミュレータなのだが,残念ながらマニュアルが少なく,何をやるにしても手探りという状況だった.いや,,,今もそうなんだけど.そんなMapleSimだが,この年の卒研生(当時)がかなり気合い入れてやり込んでくれて,実験可能なぐらいにまで動かせられるようになった.最初は「地面と接触せんやん!」というレベルから始めたのだが,最終的には接触モデルはもちろん,ファイルの読み込み,書き込み,ループ作成など,シミュレーションを走らせるためのインタフェースのところまでかなり頑張ってノウハウを作ってくれた.その後修士ではプログラミング言語ベースのOpenDynamicsEngineに移ってしまったが,MapleSimのマニュアルを作ってくれるなど大変助かった.あと研究室の最後の良心.

2-dof joint
- 二自由度モデル -

筋駆動関節の外力推定,最終版.以前までの一自由度のモデルをベースに,関節を一つ増やし,外力の大きさだけでなく向きも推定できるようにしましょう,という研究.モデルは予想通りものすごい式になってしまったが,何とか式の糸口をつないで外力と内部圧力の式ができあがる.そういえば一度できたと思った式に間違いが見つかり,社会人となった彼を召喚して夜にウンウン唸ったのは今となれば良い思い出.当時は産みの苦しみ.この実機で検証してみたところ,思った以上に精度良く推定できていて驚く.この研究は主に一人の学生が学部修士と研究していたわけだが,彼の成果は最終的に二本の論文になった.


2013年
出世した.この年新たに作られたロボットは,残念ながら1台.Arduinoいいよね〜,ということで,触りだした年だったような気が.
四脚ロボット
- Serval -

ほぼ唯一ではないだろうか.名前のついたロボット(と思ったのですが,以前の四脚シリーズも名前がありました・・・2015/10/14追記).バターマシン兼四脚ロボット.以前の院生が作った四脚ロボットは脚のストローク長が稼げず跳ねるなどの動作が難しかったので,ここは全力で跳ねられる脚を付けてみよう!ということで,高出力の空気圧シリンダを脚に取り付ける.うーん,まあ,今度は力が有り余って,脚の蹴り出しに体が振り回される感じ.まあでも念願のギャロップはできたかな.なおこのロボットのもう一つの顔,バターマシンだが・・・有り余る脚力を利用して,生クリームの入った容器を脚にくくりつけて振ってみたところ・・・脂肪成分が低くてバターは失敗.残念.この研究をしていた学生は卒業後,入社した会社の自転車サークルに勧誘されて,自転車乗りになった.たまに高槻から大阪まで自転車で来るぞ.


2014
この年4月から半年間スイスへ.学生とのミーティングはskypeで行った.時代だなぁ.
スイスの研究室で触っていた3Dプリンタの便利さに驚く(今更).帰国後早速3Dプリンタ導入.「慣らし運転」と称して様々な謎物体ができあがる.
biped-simulation
- 体幹付き二脚歩行モデル -

実機の検証用に作ったシミュレーションモデル.物理エンジンはOpen Dynamics Engine.高校は情報系だった学部生にプログラム作成を指示.なかなか良い感じのものを作ってくる.モデル作りはそこそこ順調だったのだが,実機同様パラメタ調整で詰まる.そういえば当時,「遊脚の足が支持脚の足より前に出たら膝を伸ばす」という処理をプログラムに書き込んでいたのだが,そんな便利なセンサは実世界にはなく,そういったロストテクノロジー的なセンサを前提にした処理はしないよう指導した気がする.当時その学生はだいぶん食い下がったのだが,翌年院進学して実機を作るにあたって,やはりロストテクノロジーは使ってはいけないと思うようになった模様.この学生はその後IROSで発表したり研究成果がAutonomous Robotsに掲載されたりで,なかなか良い研究ライフだったのではないだろうか.

wire-driven jumpern
- 単一アクチュエータで駆動する跳躍ロボット -

研究室に設置した3Dプリンタで(研究としては)はじめて作製したロボット.スイスに行ってたときに興味を持った機構で,一つのワイヤ・・・釣り糸だけど・・・を複数のリンクに引っ掛けて,背中のアクチュエータを引くと関節が伸びる代物.もちろんワイヤを引っ掛ける場所によってうまく動いたり動かなかったり.そのあたりどう設計したものか,がこの研究のメイン.翌年このロボットを作った学生は大学院に進学して,シミュレーションに着手する.


2015
この年あたりから,学外の講演会の依頼や企業の方と何かしたりということが出てきた気がする.
なおこの年から,改装した研究室で活動する

vr-gesture
- 3+1次元CADシステム -

研究室の物理シミュレータで使っているOpen Dynamic Engineだが,文字でリンクの位置や関節の位置を指定しているため「ソコジャナイ」「コレジャナイ」「ソコデマガラナイ」が多く発生していた.で,ある日ムシャクシャして作ってしまったのがこのシステム.ジェスチャだけでブロックを指定して,なんなら関節の位置まで決めて想像通りのモデルをコマンド指定無しに作ってしまおうぜ,という代物.元々は私のお師匠の一人であるA先生があるとき仰っていた「なんか不便やと思ったら,そこに研究のネタがあるもんよ.」を形にした自負がある.当時VR上でジェスチャなどを使って直感的に製品を動かすというアプリケーションが企業でも出つつあり,出遅れ感はあるもののいざ取り組んでみると取り組むべき問題も山積だと分かった代物.

vr-gesture
- 体幹と腕を有する3次元歩行ロボット -

上記の2次元シミュレーションを卒研で取り組んでいた学生が,院に入って満を持して取り組んだ3次元二脚歩行ロボット.CAD初挑戦にして,夏頃にはパーツが全部揃って組み付けられていたのは上等.さすがに加工は厳しいので,パーツの加工は業者に依頼した.回路もPCBEを使って回路パタンを切削.そういう意味では開発は順調であった.開発はな.その後動かしてみるのだが,パラメタをどう調整してもうまく歩かず.で,相当な日月をパラメタチューニングに費やすことになってしまった.足裏の形状を変えてみるとか,色々試してみたものの・・・うーん.
このロボットは紆余曲折を経て,2019年にようやく歩いた.腕振りと体幹捻りが効いたのだと思うことにしよう.

vr-gesture
- Quadrunk -

機械工学研究部出身の卒研生が設計.彼の機構への愛を感じる設計.当初CADデータを大学内のNCフライスに放り込んでパーツを作る予定だったため,かなり凝った肉抜きをしていたのだが,結局学内のNCフライスは使わない-->業者に依頼したがCADファイルの不調か先方でデータが読めない-->一旦図面にしたものを加工してもらう,という流れとなってしまった.そのため細かい肉抜きの形状は指定ができず,そこはちょっと残念な形状に.ちなみに設計をした学生は卒業して某機械加工の会社に入社しただが,たまたまその会社に転職した2008年配属の卒業生とロッカールームが一緒になっているそうな.


2016
この年は・・・あれ,意外とあまり作らなかったな.
なおこの年は久しぶりの修論4名.年度明け頃は2名修論で残り2名は来年かなー,とか言っていたのだが,最後は本当にそうなりかけた.
bbq
- プレ中間-->BBQ -

この年からだったか昨年あたりからだったか記憶が定かではないのだが,研究室では夏に「プレ中間発表」と称した発表会と,その後のBBQを行っている.たしか当初は発表してすぐにBBQできるような保養地的なところでの開催を考えていたのだが,企画するほどの馬力が無く,結局学内で発表-->鶴見緑地に移動してBBQとなった.まあそれはそれで結果オーライで,プレゼンは学内の施設を使えば良いのでプロジェクタなどは準備不要だし,BBQは近くに大型スーパーがあるので材料は現地で揃えられる.難点は暑い日中に事前に用意した焼き材料を持って現地まで移動することかなぁ.BBQは卒業生も来てなかなか良い交流の会場にもなっている.


2017
この年に海外から留学生がやってくる.
versalighter
- バーサライタ(初代) -

例年オープンキャンパスで簡易バーサライタ作製を出展しているが,呼び込み的に少し派手なものを作りましょう,ということで作製.簡易バーサライタは一列に並んだLEDの回路を手で振って模様を出すが,こちらは全自動.回転速度とLEDの点滅パタンのタイミングを合わせることで模様が浮き上がる・・・が,これはちょっとパタン間違ってないか!?
なお初代は回転部にタミヤのギアボックスを取り付けたが,負荷に耐えられなかったらしく回転しながらギアが粉になって摩耗していった.だいたい1-2時間程度回ったぐらいかなぁ.回路製作はこの年研究室に来ていた留学生にお願いした.回転部と回路・マイコンの台座は四年生が作製した.翌年は回転部を38モータに変更.多分きちんと回るんじゃないかな...

amoebot
- アメーバ様ソフトロボット -

この年の春頃にあった学会で,重心位置を周期的に動かしながら移動するロボットの発表を聞く.なるほどなぁ,と思いつつその週あたりの夜に某英雄伝説の流体金属でできた要塞の回を見る.で,翌朝思いついたのがこのロボット.本当は別案があったのだが,現実的な構成として前後のチャンバ(水風船)に水を出し入れして,重心位置と形状をうまく変更させて前進する.これまで空気圧を触ってきたので流体の駆動システムは簡単に組めるかなと思っていたのだが,まず適当なポンプが見つからず難儀する.次に流体を扱うバルブがほとんど無く難儀する.センサの種類も少ないし,空気より値段高いし...
なおこのロボットの名前だが,当初"Amoebot"と名付けていた.が,案の定,この手の名前は既に名乗っている論文があり,幻の名前となってしまった.


2018
この年も色々作ったのだが,研究の都合お見せできないものが多い.ということで,当たり障り無いところで.
versalighter-v2
- バーサライタ(二代目) -

初代はモータとギア部分に難点有り,ということで,ボディの部分を作り直す.モータは38モータでギアヘッドも安心.こいつが暴れない程度のボディを作ろうとしてできたものが,こちら.なんかこの写真だけだと筒のようにしか見えないが,この中にモータが鎮座している.回転物なので,偏心の対策は必要,ということで・・・うーん,筒にして土台で受けるか.なるほど.この筒はたしか,前年度末に購入した新しい3Dプリンタ(Da vinci pro)で作成した気が.製作限度ギリギリのサイズじゃなかったかな.なお形状はアレとして,機能的には全く問題なく,この年のオープンキャンパスでは延々と回り続けた.

soft-sensor
- 柔軟センサ -

柔軟なロボットにつかえる柔軟なセンサを作ろう,ということで,炭素の粉をシリコーンに混ぜ込んで電気的な特性を持たせてみたもの.この研究は・・・うん・・・沼だ.伸ばすと抵抗値が全く安定しないし,自然長時の抵抗値ですら日によって大きく変わる.そして一旦伸ばしたらしばらく抵抗値が変わり続けて,一定値に戻るまでえらく時間がかかる.研究自体は前の年度から始めていたのだが,引継ぎ書に「この研究テーマが当たったら,テーマを変えてもらうように先生に言った方が良い」と書かれているほど,なかなかに沼な研究だ.この年担当した学生にも,結果が出なかったら夏に諦めようと言って継続したのだが,夏までになんか結果出ちゃったよ,ということで後半も継続.後半はセンサよりも担当の学生のやる気が一定にならなかった気がするが,それはさておきシリコーン溶剤を変えたりセンサの構造を変えてみるなりして,そこそこ反応のよいものが出来上がった.この研究をするまで材料系の研究って混ぜたら終わりやんと正直思っていたが,品質を安定させるのがここまで大変だとは思わなかった.あと新しいロボットに合わせたデバイスが必要なら,材料から勉強しなければいけないということもようやく分かった研究であった.いや今も苦しんでるんだけど.

wire-jump-final wire-jump-final
- 半固定足首関節 -

2015に作ったロボットがなかなか歩けないでいたのだが,どうも足首がへたれるらしい.足首はマッキベン型アクチュエータに圧縮空気を入れて固めているつもりなのだが,それでもへたれるらしい.ちょうどマッキベンの収縮力のモデルも作っていたので,それを使ってどれぐらいへたれるのかなー,ということで計算してみたところ,ものすごい太さのアクチュエータでも無理なのでは・・・という結論になった.かといって足首は固定してしまうと脚を振ったときにぶつかってしまう.ということで,体を支えているときはストッパーになって,脚を振るときは曲がるような足首機構を考えましょうとなった.その結果が左の機構.ある程度足首は回るのだが,ある角度を超えると曲がらなくなるようにストッパーを設けた.当たり前といえば当たり前の機構なのだが,この機構を実際の二脚に取り入れたところ,へたれの問題が解決した.右の機構は人工筋で支えたときにどれぐらいの力になるか,真面目にモデルを立てて計算しているところ.力の計算で,筋が斜めになっているところもきちんと計算しているところが頑張りどころ.


2019
平成から令和に.
個人的には盲腸で入院したり車が事故るなど厄年的な感じだった.年齢的に,前厄本厄後厄とも関係ないと思うのだが.

wire-jump-final wire-jump-final
- ワイヤ駆動ロボット(最終形態) -

2014に着想して,ようやく最終形態に.1本のワイヤが各リンクに設けたプーリを経由して,足リンクに繋がったもの.背中に付けたアクチュエータでワイヤを引っ張ると,からくり人形のように各関節が動いてジャンプをする.が,経由点の位置によってうまくいったりうまくいかなかったり.ということで,ロボットのモデルを作って足先にかかる力の大きさ・向きと経由点の関係を計算してみた.摩擦を考えないとかプーリの半径はゼロであるとか,ちょこちょこ怪しい近似が入っているのだが,実機で計測すると結構計算通りになってちょっと驚いた.数年分の成果をまとめて,翌年論文化をしてとりあえず成仏.

wire-jump-final
- 三つ叉ソフトロボット -

2017年に作った水駆動ソフトロボットの発展版.以前のものは前後に二つの水風船だったので,移動は直線のみ.今回は三つということで,前後左右に回転も可能.なんなら坂も上れるよ,ということでかなり移動範囲が広がる.給排水の配管は2017年のものとは違って,オーソドックスに風船の選択用に1個(合計3個)バルブを用意.卒研で割り当てられた学生は始めるにあたって,各バルブを給排水するコントローラを作って,だいたいどれぐらいの時間給排水すれば良いか確認していた.担当の学生がかなり用意周到に進めたようで,大きなトラブルもなくなかなか順調に動いたのではないだろうか.工大生の新しい側面を見た.

wire-jump-final
- ソフトロボット用センサ -

ロボットに搭載する機材を柔らかくしようシリーズ.とりあえずフレームとアクチュエータは柔らかくできそうなので,次はセンサを柔らかくしてみましょうと.以前から炭素の粉を混ぜるなどして柔らかいセンサができないものかと模索していたが,再現性の無さと反応時間の遅さがどうにもネックになっていた.そんなところに「変形すると容量が変わる布があるらしい」ということで,早速様子を見てみる.するとどうだろう,100回曲げ伸ばししても再現性あるわ,ロボットの伸縮に合わせて容量の値が変化するわ,これはもう使うしかないなということで水駆動ロボットに取り入れる.ロボットはかなり変形するがこの布は伸び縮みはそれほどしない.ということで切り紙構造を使って良く伸びるようにしてみると,なんとか風船の伸び縮みに対応してくれるようになった.とはいえまだ風船の邪魔をしているなぁ...この研究割り当てになった学生は昼頃に自転車でやってきて夜頃に帰っていくという規則正しい生活をしていた.淡々とデータを採っていたようだが,彼が卒業したあと実験スペースを掃除していると,大量の手作り風船が出てきた.久々に工大生の神髄を見た気がする.
ちなみに炭素を混ぜたシリコーンの話は,次年度復活する.


2020
新型コロナと3人の山田.

classroom
- オンライン授業オンラインミーティングオンライン学会オンライン飲み会 -

2020年と言えばこれでしょう.4月に大学閉鎖となり,5月からだったかオンラインでの授業配信!となってしまった.困ったのは学生との連絡方法.幸い学科でgoogle classroomを使いこなされている先生がいらっしゃり,その先生に聞きながら課題配布,課題提出の体勢を整えていった.授業配信も一苦労.閉鎖になる前に授業予習用に動画を作っていたのだが,急遽授業本番用の動画に切り替えて学生に配信した.研究室のゼミもオンラインで実施.新規のロボットを作ることになったのだが,各パーツの配置を図示するのに相当苦労した.ホワイトボードがある環境は大事.学会も大混乱だったようで,5月の学会なんかよく実施できたなぁ,と.その後オンライン懇親会を実施する学会が出てくるなど,オンライン学会が急速に進化した(せざるを得なかった)年だったと思う.飲み会もオンラインかー!

labic1
- 小型跳躍ロボット LABIC1-3 -

2019年度から始まった非接触給電で駆動する小型ロボットの研究.当初はコロナで今年は大学来てモノは作れないかなぁ,などと思っていたものだが,入室の時間制限がある中で学生が頑張って作り上げた.床面に給電用のコイルを敷き詰め,ロボットには受電用のコイルを搭載.床からの電力をロボットが受けて,モータを駆動して跳躍する.ロボットの形状は写真のLABIC1の他,跳躍方式が違うLABIC2と3がある.当時一番跳躍できたLABIC1を増産して,群行動を取らせてみた.ロボットを操作するのではなく,床面の給電頻度を操作するのがポイント.当時は写真のような小さいコイルしか手に入らなかったので,とりあえずこれを一様に並べて給電しようぜ,ということになった.が,のちのちこの並べ方はまずかったんじゃないかな,と思うように(いまだ確信は持てない).まあ,私を含め全員,無知だからこそできた芸当かなと.

core soft-measure
- 3Dプリンタ -

いやしかし凄い時代になったものだ.ソフトロボットのあの奇抜なボディは,3Dプリンタによる正確な型+熱収縮によるサイズ変化を見越した職人的な設計無しでは作ることができない.ロボティクス研もしかりで,センサ搭載のソフトチャンバを作るためのコアとなる部品(左)やら,延びを測定するための治具(右)まで,色々なものがCADから3Dプリンタへと流れ,常時ガーコガーコ動いている.そしてしょっちゅうノズルつまりやフィラメント送り込み失敗を起こして無残なパーツが出来上がっている.まあドンマイ.

upper-body
- 腕振りと体幹捻りをするロボット -

初めはネタだったんだ・・・なんとなく,腕振ったら面白いんじゃない?+体幹のどこか動かすと何か起こるんじゃない?ぐらいから院生がシミュレーション動かしてみたら,歩行に必要な床反力中心の左右揺動がかなりシンプルなモデルと運動で実現できることが分かってしまった.まあ,ネタはネタでも試しにやってみるものだなぁ,と思った研究.で,これは,その床反力中心の左右揺動を検証するロボット.数理モデルを元にしたロボットなので,形状としてはまあ,直動アクチュエータと回転機構というあまりロマンは感じないデザイン.筋肉はない.しかし形状のシンプルさと裏腹に,実験は困難を極める.柔軟体をロボットに取り入れると,本当に再現性がなくなるなぁ!



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大阪工業大学 ロボティクス研究室