分子線エピタキシー装置(Molecular Beam Epitaxy:MBE)
見てください! アルミホイルでグルグル巻きにされてて、すごそうでしょう?装置の名前からどういう装置か 想像がつきますか?わからないですよね〜僕もわかりませんでした。今でもわかってないとか…?この装置は基板の上に単結晶薄膜を成長させることができるのです!って言われてもわかり ませんよね。写真をよくみていただけますか?装置の下のほうに斜め方向に太い筒状の物が出ている のがわかりますか?そこには結晶薄膜(うすい膜)を作るための材料を仕込んであります。 研究テーマは研究室ごとで、または大学ごとで違うので、入れる材料はそれぞれ違います。 ここの研究室では、アルミニウム(Al)・ガリウム(Ga)・ヒ素(As)・インジウム(In)・アンチモン(Sb)を 入れてあります。興味のある人は元素の周期律表を見てくださいね。
そして、それらを徐々に 熱していきます。最高で1000℃を越えるものもあります!すると、 火にかけられたヤカンから出てくる 水蒸気のように、入れてある材料が下から上に向かって原子や 分子となって飛び出てきます。 どこに飛び出すかというと、結晶薄膜を作る部屋、成長室と呼ばれるところです。写真で言うと 丸い窓がついているところです。その中は空洞になっていて、なんと!宇宙空間のように真空に してあります。(無重力にはなってませんよ。)そうすることで原子が目的のところまで到達しやすく するんですね。飛び出た原子・分子達は基板(薄膜を作りたいもとの板)にまっしぐら! 基板にくっついていきます。
はじめに基板の上に 成長させる装置と解説しましたが、正確には基板の下に成長させる装置になりますね。ヤカンをもう一度 思い出して、手を蒸気にあててみてください。頭の中でやってみると、手のひら (今で言うところの 基板の下)に水滴がつきますね。お風呂のゆげに手をかざせば、しっとりして水分がつきますね。 それと同じように飛び出してくる原子に基板をかざすと、基板に原子達が付いていくわけですね〜 それを成長と呼んでいるんでいます。そして、実際に原子というのはとても小さくて、目に見えない ので「薄膜」と呼んでいます。
どうでしょうかイメージがわきましたか?この他に、うまく成長しているかどうか、見ながら 成長させることができたり、自由な厚さ(原子1個の厚さ)の「薄膜」を作れるなど特徴がある のですが、基板の上に単結晶薄膜を成長させる装置!の意味がわかっていただけたらとっても うれしいです。
え!わからなかった?ちょっとショック…役不足か〜 ではわかりやすいように こちらをご覧下さい。
原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)
次の装置は名前からなんとなく想像できますね。すごーい顕微鏡です。小学校や中学校で使っていたのは 光学顕微鏡といわれるもので、下から光をあててゾウリムシを見ました。 別にゾウリムシにこだわりはないんですが…一方、僕らは原子間力顕微鏡を使って半導体表面(MBEで成長させた単結晶薄膜など)を観察します。 原子間力顕微鏡の方がもっと小さい物が見えます。1ミリメートルの1000分の1の1000分の1を見る ことができます。髪の毛の太さの約100000分の1を見ることができます。もうこうなってきたら、 わけがわからん…とにかく小さい物を見ることができるんです。
それだけ小さい物なので、今までのように下から光をあてて見るということはしません。では どうやって見ているのでしょうか?答えは簡単に言うと、とっても細い針を半導体表面に滑らせてデコボコを 感じ取らせています。もちろん、表面を傷つけないように針と表面との間には、目にみえないくらいの隙間が あります。その隙間を一定に保ちながら滑らせると、半導体表面の凹凸・デコボコをパソコンが読み取って 表面の映像を僕達に見せてくれるわけなんです。
まだ紹介していない装置がたくさんあります。できるだけ早く紹介できるようにいたします。