著作権とは -What is Copyrights-

著作権
展覧会で飾られる著名な絵画や芸術作品だけでなく、私たちが普段身近に親しむ音楽や小説、漫画なども、著作権によってその創作者の権利が守られています。

動画サイトやSNSの普及で、音楽や写真の閲覧がより身近なものとなりました。しかし、利用が簡単なために思わぬところで著作権侵害となる場合があります。 ここでは、表現を保護する著作権法について簡単に解説します。

著作権とは

著作権の保護対象

保護対象は、「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」とされています。例えば、小説、音楽、絵画、さらには論文やコンピュータプログラムなどが挙げられます。著作権法では、保護の対象である著作物が「思想または感情を創作的に表現したもの…」と定義されています。

画像:著作物になるもの

著作権の保護期間

著作権は創作した時点で発生します。権利は、創作した人の死後50年後に消失します。企業で作成された著作物や映画は、公表後50年間(映画は70年)保護されます。
著作権が切れた後は、誰でも使えるようになり、インターネット上では著作権の切れた文学作品などがパブリックドメインとして公開されています。

著作権侵害とは

他人のものを無許諾でそっくりそののままコピーして利益を 得たり、公表したりすると著作権侵害となります。例えば、購入したDVDをコピーして販売したり、インターネット上で配信したりしてはいけません。
また、そのままコピーしていなくとも、他人の著作物の一部を利用したり、表現を変えたりすることも侵害にあたります。無断で他人の小説の内容を利用し、動画コンテンツを作成したり、楽曲の一部を引用したりしてもいけません。
この場合、判断は難しいですが、他人の著作物を確かに利用した(依拠している)ことを確認する必要があります。たまたま似ている場合は、侵害となりません。

画像:著作物侵害の例

ここで、「思想・感情」は、作者が考え出した内容や気持ちを示しています。例えば、「政治的思想を表現した小説」、「美しい山を描いた絵画」は、作った人の考えや感情がこめられています。
「創作的」とはオリジナル(作者の個性が現れている)であることを言います。何かしら作品を作ったとしても、誰でもすぐに思いつく表現だったり、他の人と同じ作品であれば創作性は認められません。
「表現」は、頭の中で考えていることを、何らかの方法、または媒体をもって表現したものであることをいいます。例えば、音楽を奏でる、文字を書くなどして他の人が認識できる状態にすることです。

著作権の内容

著作権には、その権利者の自身の名誉などを保護する‟人格権”や、著作物を広めている人を保護する‟著作隣接権”があります。

人格権とは

創作を行った者は、①無断で公表されない権利、②名前の表示方法を選択する権利、③無断で改変を受けない権利という3つの権利を持っています。

著作隣接権とは

著作隣接権とは、著作物を伝達する人達に与えられる権利です。例えば、テレビ局の放送事業者、歌手などの実演家などが含まれます。
著作権は創作者が持つ権利で、権利をコントロールするのは権利者のみです。しかし、テレビ放送では多くの出演者や創作者により番組を制作しています。また、野球放送でも複数の選手がいます。ここで放送が侵害行為の対象となった際、権利者全員の確認を取ることは現実的でなく、放送事業者やレコード会社が権利を行使できたほうが都合がよい場合があります。

画像:さまざまな権利

著作権にまつわる話題

SNSと著作権問題

SNSの利用も、著作権を意識して行う必要があります。例えば、映画についてのコメントをポスターの画像を検索で見つけて掲載したとします。これは無許諾で複製をしたことになるため、著作権侵害となります。

違法コピー問題

最近は音楽や映画がCDやDVDのデジタル情報として流通しています。デジタル情報は簡単にコピーでき、コピーによる劣化が起きないので一度その情報がネット上に漏れてしまうとすぐに世界に広がってしまいます。そうすると正規のCDやDVDを買う人がいなくなり権利者の利益が損なわれる可能性があります。
これは法律で抑えるのは難しく、利用者の倫理観に拠る問題です。

また、最近よく「著作権侵害」という言葉を耳にしますが、それはこのデジタルコンテンツが大きく関わっています。それはデジタルコンテンツがアナログの情報と違い、データを簡単にコピーすることができるからです。

画像:アナログとデジタルの違い

著作権とは「勝手に使用されない権利」のことを言います。映画・音楽・写真などはどれも創作した人がいて、その人がそれらの著作権を持っています。なのでこれらを許可なく使用してはいけません。
デジタルコンテンツの著作権が問題とされた事件の一つがファイル交換ソフトの事件です。このソフトが問題となったのは、著作権侵害の手助けをしたとうことで問題とされました。また、2012年10月1日には違法ダウンロードが刑罰化され、デジタルコンテンツの取り締まりが一層強化されました。

オープンソースとは

著作物を保護することは重要ですが、場合によっては広く利用したもらったほうがよい場合があります。例えば、インターネット上でソフトウェアを広く利用してもらい、自由な改造を許可すれば、世界中のプログラマーが開発に参加するソフトウェアになります。利益は得られませんが、多くの人の意見が含まれた使いやすいソフトウェアが期待できます。

著作権侵害が問題となった例

とあるゲームメーカーが、釣った魚を画面に引き寄せる形式の釣りゲームを提供していた(原告)。そうしたところ、原告とよく似た、魚を画面に引き寄せる形式の釣りゲームを提供する競合会社が現れた(被告)ため、原告は被告に著作権侵害として裁判を提起した。しかしながら、釣った魚を画面に引き寄せる表現は、誰でも思いつくものであるとして、裁判所は著作物として保護されるべきではないとして原告の主張を退けた。
 この裁判では著作権侵害が認められなかったが、ゲームの表現は類似してしまうことが多く、著作権問題として発展しがちである。ただし、インターフェース(操作画面)は、誰が作っても同じになることが多く、権利が主張できない場合があるため、注意が必要である。

これからの著作権

著作権はだれもが持てる権利です。しかし簡単に侵害されやすいのも著作権です。デジタル化が進んでいる現在では、動画サイトで無断で映画や音楽をアップロードされており、それを当たり前のように見たり聞いたりすることができます。本来は著作権侵害なのですが、このようなことが当たり前に起こっている今の時代にこれらをすべて制御することは不可能に近いです。著作権の権利者は「権利があるから」として安心していては知らないところで侵害されて続けてしまいます。著作権者は侵害されないための努力をすることが必要となってきています。また、現在のデジタル化社会をうまく利用して自分の著作物を早く広めることが簡単になったのも事実です。これからは時代の変化に合わせてうまく対応していくことが権利者・利用者ともに重要なってきています。