独占的通常実施権の差止請求権

山口 虹矢

日本での主な実施権は、通常実施権と専用実施権である。また、通常実施権の契約において、実施権者以外に実施しないことを条件として交わされる独占的通常実施権が実務上存在し、専用実施権よりも利用されている。 しかし、独占的通常実施権に差止請求権が存在しないことは当然であるが、許諾者の持つ差止請求権の代位行使については、判例においても肯定例と否定例に分かれており、明確な答えは見つからなかった。 このことについて海外の実施権制度、契約制度と比較検討した。 この比較検討により、日本の実施権制度が国際的なスタンダードとは異なり、実施権者よりも第三者に有利な制度になっているという結論を得ることができた。