通信・放送融合の著作権問題について
-裁判例と各国の比較から導く日本の著作権法の有り方-

竹村 茉莉

新技術の発展や国際条約に対応するため、日本の著作権法は過去に何度か改正されてきたが、依然として新技術により生じた様々な伝達方法に対応が出来ていないと思われる。本論文では、特にIPマルチキャスト放送に着目し、日本の著作権法の改正動向の分析、諸外国での通信・放送融合における著作権の政策や法律改正の調査、判決が大きく揺れた「まねきTV事件」や「ロクラクU事件」等の判例分析を行い、その結果を基に著作権法改正を提案する。提案内容は諸外国著作権法の調査結果を軸とし、IPマルチキャスト放送、有線放送、放送の区分を廃止、結合するものである。本提案により、将来の様々な技術的ニーズに応えられることが期待できる。