IPRポリシーの効果と問題点の研究 − IPRポリシー改善の方向性 −

吉野 祐貴

近年、スマートフォン関連技術を中心にIT分野で標準化技術に関する知的財産 訴訟が活発化している。こうした訴訟の主な争点はRAND条件によるライセンス 料率と差止請求の可否である。本研究では標準化組織のIPRポリシーにおいて 、訴訟が起こる原因となっている問題点を明らかにし、その問題の回避、緩和を 目的に標準の利用者にとって予見可能性を高める改善案を提示している。1乃 至3章では代表的な標準化組織のIPRポリシーとこれまでの訴訟の事例を考察 することでIPRポリシーの問題点を明らかにし、4章と5章では、IPRポリシーの改 善案として第一にEx- ante宣言制度導入の義務化、第二に差止請求の制限を提案している。