応用美術の法的保護

福井 利政

美術の著作物は、専ら美を表現することを目的とする「純粋美術」と、実用品を媒体として美を表現することを目的とする「応用美術」に大別される。わが国の著作権法では、「美術の著作物には、美術工芸品を含む」と規定されており、絵画や彫刻等の純粋美術のほか、実用品のうち美術工芸品については著作権法の保護対象である美術の著作物に入ることは明確である。しかし、その他の応用美術が著作権法で保護されるか否かは、条文上明らかでないため、裁判所が事案ごとに判断を行なっている。
本稿では、主要国における応用美術の保護法制と比較をするとともに、判例の動向を踏まえた上で、わが国における応用美術の保護の在り方について考察する。