類似商号に関する紛争の研究

小島 幸保

 会社の名称である商号は、企業活動を営む上で最も基本的なものであり、企業活動の積み重ねによって信用を獲得しうるものであって、相応の経済的価値を有する。しかし、商号が、登録商標と同一又は類似し、または、周知性・著名性を具備した「商品等表示」と同一又は類似することによって、紛争が生じることがある。当該紛争が訴訟に発展した結果、商号登記の抹消が命じられ、変更を余儀なくされると、長年当該商号を使用してきた企業ほど経済的負担は大きく、それまでの商号によって蓄積された信用をも失うこととなる。そこで、類似商号に関する裁判例により訴訟の構造を研究することにより、紛争予防の方策の検討を試みるものである。