地理的表示の保護に向けた地域団体商標制度の意義と限界

嶋 祥宏

地域団体商標制度は、地域ブランドを適切に保護しきれていない。喜多方ラーメンのような著名な地域ブランドが地域団体商標の周知性を有していないとして、拒絶されている。本稿では、この点に鑑み、著名な地域ブランドが地域団体商標制度により保護されなかった理由を検討した。 結果として明らかになったのは、地域団体商標のいう周知性とは、商標そのものの識別力ではなく、商標と使用者との結び付き、すなわち出所表示に関する識別力を指すということである。これにより、喜多方ラーメンが地域団体商標として保護されなかったのは妥当との結論に至った。そこで、著名な地域ブランド保護の一施策として、証明商標制度の導入を提案した。