不正競争防止法における営業秘密の秘密管理性の要件研究

張翔

 営業秘密の保護問題は、遠い昔から国内外で課題とされてきた問題である。日本は、1934年に旧不正競争防止法が制定され、1990年にようやく営業秘密保護に関する条文が備わり、幾度の改正を経て現在に至る。近年、従来の知的財産法では保護できない技術上の情報及び営業上の情報の重要性が増してきた。こういった情報を営業秘密として保護するには、法律上の要件を満たさなければならないが、裁判例では、「秘密管理性」要件が否定されるケースが多い。そこで、この論文では、「秘密管理性」が争点となった裁判例から「秘密管理性」が肯定される条件を取り上げ、企業の秘密情報の有効な管理措置及び営業秘密管理の在り方を検討する。