「独占禁止法21条の存在意義について」

松永 美里

知的財産権は、発明を保護し、後願の発明には特許権を与えず、その発明の実施を先願発明に対する実施行為として排除することで、発明者のインセンティブを強化し、究極的には産業の発達に寄与する。他方、独占禁止法は、独占的行為を排除することにより、公正かつ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、究極的には一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的としている。独占排他的である知的財産権に対し、それを排除しようという独占禁止法、両者は相反しているように思われる。  そこで、本研究において独占禁止法と知的財産権の関係並びに独占禁止法第21条の存在意義を明らかにしていく。