著作物に対する適用除外制度について

立花 稔弘

再販売価格維持行為は独占禁止法上の不公正な取引方法(2条9項)に該当し、原則として独占禁止法に違反する行為であるが、独占禁止法23条4項において、著作物に対する再販売価格維持行為は著作物再販制度として、独占禁止法の適用除外とされている。著作物再販制度の根拠としては、文化の保護を挙げる見解が多々見受けられる。文化の保護自体は重要な価値であるが、著作物再販制度が文化の保護に寄与しているか厳密に論証されなければいけない。  そこで、本研究では、著作物再販制度の対象品目である書籍、雑誌に着目し、著作物再販制度の妥当性を検討することによって、競争政策と文化について理解を深めることとした。