並行輸入の阻害行為から見る独占禁止法21条の意義の検討

中野 裕規

 知的財産権法と独占禁止法との関係においては、独占禁止法21条で知的財産権の適用除外規定が設けられおり、知的財産権の権利の行使は独占禁止法上問題とならないとされている。
本稿においては、知的財産権と独占禁止法が交錯する、並行輸入とその阻害行為を踏まえて、どのように独占禁止法21条が取り扱われるべきかを検討する。現在21条の解釈として、通説とされる見解には大きく見て問題はないが、その理論構成には問題があるといわれる。通説の「権利の行使とみられる行為であっても知的財産権法の目的に合致するか否か」で独占禁止法の適用除外を判断することには疑問があり、競争政策の観点から適用除外を判断すべきである。