特許ライセンス契約において、ライセンサーはライセンシーに対してライセンス技 術の利用制限条項を設ける。制限条項の一般的なものとして、生産数量の制限 条項・非係争条項・不争条項が挙げられる。しかし、これらの条項はいずれも独 占禁止法が規制する「私的独占」、「不公正な取引方法」に該当する可能性があ る。このことは「知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針」において明らか にしているところ、当該指針では①独禁法違反か判断する基準分析方法が複雑 ②実際問題となった事例が少ない等の課題がある。そこで、本稿では公取委が 採る独禁法適用要件、違反要件を整理し、実際の事例を当てはめ、架空の事例 を想定できるようにした。