知的財産権行使の独占禁止法違反の有無について-並行輸入品を素材として-

泉谷 充紀

本稿において、知的財産権の行使においての独占禁止法違反の有無を、まず独占禁止法と知的財産権法の整合的解釈について検討し、そして並行輸入品に関する独占禁止法違反の有無を裁判例と交えて研究を行った。知的財産権法と独占禁止法とは共通する目的の実現手段面において相互補完的に働いていると考え、両法の共通の目的である経済・産業の発達を達成するためには、両法のどちらか一方を強化するだけでは不十分であり,両法の整合性をとっていくことが必要であると考えた。そして、その整合的解釈を検討していくうえで、反公益性の要件の解釈論を採って判断することが適切な結論を導き出すことができ得ると判断した。