欧州における知的財産侵害訴訟の国際裁判管轄に関する判例動向

藤木 玲奈

近年企業の経済活動のグローバル化が促進するに伴い、国際的な知的財産訴訟が増加している。国際的な訴訟において問題となるのが、国際裁判管轄の判断である。日本企業の主な特許登録国の一つである欧州では、ブリュッセル条約(現在は、ブリュッセルT規則)によって裁判管轄が判断されており、また欧州の法制度及び欧州特許条約の性質によりクロスボーダー・インジャンクションについて盛んに議論されている。  本研究では、現在特許制度改革が行われている欧州域内において、クロスボーダー・インジャンクションに関する裁判所の判断について研究するとともに、今後のクロスボーダー訴訟の動向について検討する。