特許の有効性判断の変遷と改正の意義についての考察

嶋田 誠一

特許法は、権利付与後に発行される特許掲載公報発行日から6ヶ月以内に広く第三者に特許の見直しを求める機会を付与する異議申立制度を設けている。この制度は、特許に瑕疵があると判明した場合、その瑕疵を是正若しくは当該特許を取り消すことで、権利の早期安定化を図ることを目的としている。異議申立制度は、平成15年改正による無効審判制度との統合を理由にいったん廃止されたが、平成26年改正により復活した。ところが,統合当時の制度と再導入後の制度とでは,内容に大きな差は見受けられない。本稿では,制度改正の変遷を辿り、諸外国における有効性について争う制度を参考に、改正の意義について検討する。