部分意匠の保護範囲についての考察
―機能的デザインなどの次世代知的財産保護手段としての有効性―

福島 正憲

近年の電子情報技術の発展により、身の回りのあらゆる物がインターネットを通じてつながる社会が現実となりつつある。このような新しい社会においては、情報取得のためのインターフェースを表示する画面デザインの意匠の創作が活発となり、美的外観と機能性を備えた画面デザインへの要求が高まると考えられる。一方で、保護を求める意匠の物品性への希釈化が起こることも予想される。そこで、現行意匠法における部分意匠制度の利用のもと、このような新しい画面デザインに係る意匠の創作に認められる保護範囲について、過去の判例の解釈から従来の有体物に対する意匠との相違点を考察すると共に、部分意匠制度利用の有効性について検討する。