商品形態における実質的同一の境界線
不正競争防止法2条1項3合による模倣の判断手法

知的財産研究科修了生

 本考察は、不正競争防止法における模倣と模倣とは判断されない創造(改変)との境界線を明確にし、模倣の判断手法を再定義するものである。現実の裁判における模倣の判断基準は一義的とはいえない。裁判における判断手法と判示内容を詳細に検討すると、原告と被告の関係性や被告の行為態様が影響していることが見えてくる。これら複数の要因を踏まえて、判断手法の再定義を行った。
 インターネットの普及によるアクセス容易性とデジタル技術による模倣と改変の容易性が高まった現代においての商品形態の保護範囲は、その幅を広げる必要があるが、全ての模倣を排除することは得策ではない。そのためにも、不正競争防止法における商品形態模倣の判断基準は、弾力性若しくは流動性を持つべきであると考える。