偽造医薬品対策としての知的財産法の意義と限界

知的財産研究科修了生

本稿では、偽造医薬品の脅威が世界的に増大するという状況とその対策の全体像を踏まえ、偽造医薬品対策としての知的財産法の意義と限界を研究した。まず、医薬品の包装、錠剤の形状など、医薬品の外面に着目し、知的財産権侵害品として偽造医薬品の輸入や流通を阻止する方法が効果的であり、関税法に基づく税関による水際取締りという手段が重要であることを明らかにした。また、偽造医薬品の流通を阻止する場合に最も利用される手段となる商標権について、民事救済の事例をもとに、商標の自他商品識別性、商標の機能性がどのように判断されうるかを明らかにした。さらに、製薬企業の取り組みや国際協力について検討した。