宇宙技術に関する特許権侵害に対する管轄権行使の検討

戸川拓馬

 宇宙産業に民間が活発に参入し、宇宙技術に関する特許権紛争が生じる可能性がある。たとえば、宇宙空間にある宇宙物体に日本特許権の侵害がある場合、日本の裁判所は管轄権を行使できるか。また、海外で製造された後に日本の射場に偶発的に持ち込まれた宇宙物体に日本特許権の侵害がある場合、日本の裁判所は管轄権を行使できるか。本研究では、国による宇宙空間の領有が禁止されており、特許権登録国の特許法を宇宙空間に単純に適用できないことを示し、特許法の域外適用も限定的であること、各刻特許法の並存にも限界があることから、宇宙空間に特別の「宇宙特許(Space patent)」制度の構築を提案した。