育成者権の権利範囲の明確化 ~グローバル時代における新品種保護制度に向けて~

知財研究科修了生

本稿では、知的財産である「植物の新品種」の保護客体は「植物(現物)に具現化された情報」と定義した。そして、UPOV(植物新品種保護国国際同盟)やEU・米国の品種保護法も現物主義に立脚した考え方をもっていることが把握された。育成者権に専有権を付与していることについて、排除権(許諾権)と解釈すべきであるが、品種登録の適否を判定するための「重要な形質」をUPOV基準と同一にすべきとの主張に対しては、権利範囲の広さに影響を及ぼすことから、国際調和を図りつつ、慎重に対応すべきとした。次に、育成者権にかかる紛争処理について検討し、独自の審判制度の創設等を提言した。