不正競争防止法における限定提供データについて  ~営業秘密の要件との対比に基づく考察~

王 冬華

日本は、不正競争防止法の改正により、ビッグデータの付加価値を保護する措置である限定提供データを新設することとした。本論文は、限定提供データの創設経緯及び制度内容を簡単に紹介する。その上、データ流通のビジネス事例を挙げて、データ流通におけるデータについて、限定提供データとしての保護と営業秘密としての保護の可否を検討するとともに、限定提供データの要件と営業秘密の要件とを対比し、営業秘密の要件を基準として限定提供データの要件について検討する。これらの考察の結果を踏まえて、限定提供データの電磁的管理性の要件を緩めて限定提供データの電磁的管理性と営業秘密の秘密管理性とを揃える方向に向けた提言を行う。