新興国における知的財産の保護と活用について

森長 俊介

発明を具現化したものの一つとして、医薬品がある。医薬品には莫大な研究開発費が必要であり、さらに、臨床試験なども必要であることから、医薬品を市場に出すには100〜500億円以上のもの投資が必要とされており、その投資回収をするため、医薬品の価格は必然的に高くなる。この高額になった医薬品を購入できない貧困層のための解決手段として特許の強制実施権制度が採用されている。昨今本制度は新興国に多く申請されており、その際特に大きな話題となったのが今回紹介するナトコ社の事例である。本論文ではその判例、根拠となる国際条約に目をむけ考察、将来的にどのように対応するべきかの提言をする。