使用者の職務発明制度に係わる知的財産問題 ~使用者と従業員における報奨金算定の制定~

知的財産研究科修了生

 2016年4月1日に施行された改正特許法により追加・変更された職務発明制度の規定として、原始使用者帰属、「相当の対価」から「相当の利益」への変更、法定ガイドラインの導入がある。この改正について「使用者と従業者の利益配分の適正化が期待できる」といった評価がされている。しかし、今回の法改正だけでは職務発明に関する報奨金算定をめぐる問題を根本的に解決することは困難と考えられる。報奨金に対する金額算定方法が改善されておらず、現状のままでは、今後も報奨金等をめぐる訴訟等が継続して発生する可能性がある。この問題を解決すべく、各国の制度を比較調査し、裁判事例などを通じて職務発明制度に係る訴訟や契約等の実態を踏まえ、報奨金の金額算定方法で使用者・従業者の両者の利害が一致する方法を模索し、使用者と従業者の双方が円滑に合意できる方法を提言する。