中小企業と知的財産権との関係

小沼 良平

特許庁による中小企業の知的財産活動の支援策については、その立案根拠となるべき中小企業の実態調査が十分でないようにもみえる。そこで、本論文では中小企業の知的財産権に関する実態、特に特許権の取得実態について企業データベースと特許データベースを用いて調査を行った。売上高と5年間に取得した特許件数とを近畿地区に所在する製造業の中小企業221社を対象に調査したところ、売上高が一定の閾値を超えると特許取得活動が活発化することを確認した。さらにこの閾値が売上高50億円程度であることも見出した。そのうえで異なる3つの観点で考察し、閾値前後で企業の内的及び外的環境が大きく変化しているとの結論を得た。