特許訴訟における無効抗弁に関する研究
―ダブルトラックに関する問題を中心として―

石本 泰悠

 キルビー判決以降、特許の無効性判断にあたり、特許侵害訴訟における無効抗弁と特許無効審判の両ルート(ダブルトラック)が確立され訴訟が迅速化された。しかし、司法行政間での判断齟齬の問題、審理重複による社会経済的な問題、特許権者の手続き負担増の問題、裁判所の技術専門性についての懸念、侵害訴訟で無効抗弁をされた特許権利者側の圧倒的敗訴率などが問題として報告されている。本論文では、小委員会等で扱われた論点を中心に情報を収集し現状を把握し、現実的にはダブルトラック状態を維持すべきであると捉えた上で、効率的で円滑な制度運用の可能性を検討した。