技術ライセンスの独占禁止法上の取り扱いに関する考察 -クローズ・オープン戦略の法的対応-

山脇 佑介

戦後、日本の産業は奇跡的な復興を遂げ、その技術力は欧米諸国を凌駕するまでに至った。 特に電機業界においては、技術導入を受けた米国企業を追いやり、世界シェアのトップを得た。しかし、90年代からの20年は「失われた20 年」と呼ばれ、その成長は頭打ちとなり、衰退を迎えつつある。本稿では日本の産業衰退の原因を分析し、その対策として新たな産業転換下における知財戦略を示唆する。具体的にはクローズ・オープン戦略を用いた新たな枠組みでの技術・事業戦略の仮想モデルをシミュレーションし、同戦略実行に伴う日本、米国、中国における技術ライセンスを規制する独占禁止法の観点からの法的リスクと対応について提言する。