日本の自動車産業における技術戦略の考察

知的財産研究科修了生

2020年の日本の自動車業界の売上上位3社であるトヨタ自動車株式会社、ホンダ技研工業株式会社、日産自動車株式会社について、売上高及び研究開発費の推移を調査・考察した後、環境問題等の視点から技術戦略並びに知的財産戦略がどのように行われているのかを2つの仮説として立てた。1つ目の仮説は業界全体で技術分野の傾向が近いという説、2つ目はエンジン技術が需要と共に変遷していく形が明確に表れているという説である。研究開発費や売上高と特許出願件数の推移には関連性がないが、これはコストの増加が原因と推測される。筆頭IPCランキングでは、業界全体では共通の技術について研究を行っている中で、どのように注力するかで各企業が差別化していることが分かった。また、ガソリンエンジン、ハイブリッドエンジン、電気エンジンそれぞれに特有のIPCを選定し、出願件数及び一部出願の権利内容の精査を行った結果、ガソリンエンジンとハイブリッドエンジン、ハイブリッドエンジンと電気エンジンに関する研究開発の関連性が明らかになり、仮説が正しいことが判明した。