営業秘密における有用性の判断基準に関する研究

知的財産研究科修了生

 近年、営業秘密の保護強化が叫ばれるなか、立証負担の軽減や厳罰化など種々の検討がなされている。本稿では、保護対象拡大の観点から営業秘密の保護強化を検討することとし、営業秘密3要件のうち「有用性」について、従来の裁判例における判断基準を調査した。その結果、技術情報の「有用性」は特許発明における進歩性の判断基準に準じて判断される傾向が見受けられたため、その是非について特許法との対比を中心に検討し、妥当でないとの結論を導いた上で、保護対象を拡大するべく、「有用性」の要件によって保護対象から排除される情報を公序良俗・社会通念上の信義に反する情報のみとする不正競争防止法2条6項の法改正案を提言した。