同一性保持権の研究 -法制史を中心として-

郷 菜摘

日本の同一性保持権は現行法のような権利となったのかについて関心を持ったため、本研究を行うこととした。まず日本の現行著作権(昭和45年(1970年)5月6日法律第48号、以下「現行法」という。)について調べてみた。現行法は旧著作権法(明治32年(1899年)3月4日法律第39号、以下「旧法」という。)を全面改正して制定された法律であるため、更に旧法についても調べてみた。調べてみたことをまとめ、現行法と旧法の比較をすると、その結果、現行法と旧法とでは、実質的に同一といっていいほどの権利内容であるとの結論となった。歴史的背景も参考にしつつ、なぜ現行法のような権利となったのかについて私見を述べている。