地域団体商標の後発的無効 -「博多織事件」と「小田原蒲鉾事件」から分析する可能性

知的財産研究科修了生

Posterior Invalidity of Regional Collective Trademarks - Possibility to Analyze from "Hakata-ori Case" and "Odawara Kamaboko Case"

本研究では、地域団体商標における後発的無効の可能性を検討する。地域ブランドを保護する地域団体商標は、通常の商標と比べ、加入の自由や商標法26条1項2号の観点から、権利行使が困難である。権利を所有する組合が、組合に加入していない企業に対して、権利行使を行い、裁判となったのは「博多織事件」と「小田原蒲鉾事件」の2件のみであり、どちらの裁判も権利を所有する組合が敗訴する結果となった。この2つの裁判から、裁判所で認められた他者の使用によって、地域団体商標の周知性の力関係が入れ替わる可能性がある。実際に起こりうるかの検討を行い、無効になる場合は、地域団体商標が保護として不安定であることを示す。