特許法35条6項における指針への提案

知的財産研究科修了生

職務発明を規定した特許法35条は、平成27年に改正され、新しく設けられた第6項には経済産業大臣が指針を定め公表するとなっていた。公表された指針は、相当の利益を定めるときの手続きの考慮要素は明確化されたが、相当の利益の算定については以前と変わらず不明確である。従ってこの論文では相当の利益の算定の考慮要素を提案する。具体的には、算定手法、発明の価値および従業員の寄与率の算定方式、産業分野ごとの標準実施料率とその更新、支払方法の6項目について具体的に数字を示して条項を作成し、公表された指針に追加する提案である。これにより相当の利益の法的予見可能性を高め、争いを減少させることができると考える。