特許侵害訴訟における無効の抗弁・訂正の再抗弁の制度運用に関する考察

曽根 康介

 無効の抗弁および訂正の再抗弁とは、特許侵害訴訟において被侵害特許の有効性を争う際の主張である。本研究では、被疑侵害者が当該特許権の無効を主張する無効の抗弁と、特許権者が同抗弁に対抗して行う訂正の再抗弁について、根拠となる特許法104条の3成立の経緯、訂正の再抗弁を主張するための要件、それらの行使の態様および可能な時期に関する前提を踏まえた上で、ナイフ加工装置事件(最高裁 平成18(受)1772号)、共焦点分光分析事件(知財高裁 平成25(ネ)10090号)、シートカッター事件(最高裁 平成28(受)632号)の判例を基に検証を行い、導き出された論点の整理と、将来において生じうる問題についての考察を行った。